幸せ探し
公園でシロツメクサを見つけると四つ葉のクローバーを探してしまう。見つけたところで押し花の技術もないし、萎れさせず持って帰るのも面倒なのに、ついつい探してしまう。
幸いにして、不幸にして、見つけたことはない。みんな私と違って社会適合者なのだろう。幸運のクローバーなんて言うけれど、四つ葉というのは不良品みたいなものだそうだから。
もし不意に四つ葉のクローバーを見つけられたら。あなたも私と一緒だね、とひと声かけて摘んでしまって、知らない押し花の作り方もスマホで調べて、枯れないよう、消えないよう、ずっと一緒にいるのになあ。
みんな綺麗に同じ顔した三つ葉達の葉っぱを一枚左右に千切って、ほーらお前も四つ葉だもん、なんて意地悪をたまにしてるけど、きっと彼らが喋れたら、千切られた可愛そうな元三つ葉に「可哀想に、痛そうに、意地悪な人間だね、酷いね……」と慰めの言葉をかけるだけなんだろうな。
お休みの日、普段は降りない駅。知らない道で見つけた公園で、蚊に刺されながら今日も目で四つ葉を探してしまうけれど、四つ葉は見つかりそうもない。
幸せは見つからない。
どこにもない。
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