秋と穂の声
セミの声が聞こえなくなった。入れ替わりにスズムシが、翅を擦り合わせて泣き叫ぶ。イチョウとモミジの紅葉は、まだ早い。
「それで、秋穂はなんでむくれてるんだ?」
「夏彦君が秋穂を無視して他の秋にばかりしんみりしているからです!」
そんな彼女の服は、上が茶色のブラウスに、下が赤のロングスカート。秋色コーデってやつかな。彼女は自分の産まれた季節も名前も愛しているので、年中なんとなく秋色コーデだったりする。夏は水色ワンピースとかも見たいところだが。
「うんうん、いつも秋色が似合ってるよ。俺には虫の声より、秋穂の声のが強く聞こえるしな」
俺の隣には、いつも秋の声。田んぼで稲穂がざわめいている。
Twitter300字企画第二十四回お題より……「声」(本文292文字)
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