氷の花のおはなし
冬の終わりの事です。永久に世界を覆い続けるかと思われた雪は溶け、小さな新芽が顔を出し、太陽がポカポカ優しい光になりはじめる日々の事です。
生き生きとした植物の赤ん坊の中に、死にかけの花があります。氷の花です。氷の花は冬の大気や雪をエネルギーに存在する花です。だから春には溶けるしかありません。慈悲はありません。
雪女が通りがかりました。溶けかけの氷の花を摘み取ります。冷たい雪女のエネルギーで、氷の花は溶けるのを止めました。泣くのを止めたかのようです。
雪女が去っていきます。年中雪が降り積もる、山の高いところに越すのでしょう。拾われた氷の花も春を越せます。夏も、秋もです。冬の終わりの事です。
Twitter300字企画第二十九回お題より……「氷」(本文294文字)
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