第94話 サトゥルニアでの湯治
ローマ帝国 北イタリア山岳地帯
イタリア北部にある山岳地帯は、それこそ昔から軍事的にも要所であった。
このローマ帝国でも、それは変わらず防衛ラインである。
有名なアルプス山脈と共に山々は連なり、現在のドイツ、スイス、フランスの他、国々を飲み込んでいたローマ帝国を一望できることだろう。
まさに、領内に敵なしとそう言っても過言でもなく、この国が崩壊することはない。
そう思えるのかもしれない。
ただ、ローマは東西に分かれ2度と戻ることはなかった。
どこにいるのか場所もわからない、冬の山の中を俺は多くの兵士達と機械狼の群れは時折スキー板を履きながら行進をしていた。
実践ではないので、目立つように色のついた防寒着を纏い、雪がちらつく山の中を歩いていた。
さすがに、Stella(ステラ)達は連れて来ることはできず、今はただアレッシアの母が待っているという場所まで他の兵士達と共に行進していた。
彼らは、山岳部隊(アルピーニ)でもとより山には慣れていた。
俺は、そんな彼らを追うようについて行くばかりだった。
正直に言って、他の歩兵部隊と共に雪の中で演習を行った方がいいとは思うのだがこの部隊に回されてしまった。
…物凄く寒いし、疲れるし、代わり映えのしない風景と雪の中で夜を過ごした時の絶望感が辛く、クリスマスが懐かしく思えるほど長い1月の1週間だった。
そして、山を降りてようやく白い景色から解放された俺はローマに帰ろうとすぐに準備を始めたが大柄のサングラスをかけたロボットに呼び止められ、アレッシアの母…Valentina(ヴァレンティーナ)さんの所まで案内された。
大型のロボットはアメリカの映画で見たことあるようなボディビルダーのような体型にも見えるロボットで、ステラ達とは違い戦闘用のモデルで四肢が交換可能でつなぎ目が多数あり、顔から首までが繊維皮膚と呼ばれる肌色の布様な物で覆われているらしく、他の部位は金属で出来ていると、一緒に行動していた兵士から聞いた。
また、金属で構成
「こんにちは、ヴァレンティーナさん。何か御用ですか?」
「演習、お疲れ様。どうだった、冬の山は?」
「ひやひやしましたよ。それに、ゴーグルをしてないといけませんし。」
「そうね…ところで、この子は知っている?」
「はい、機械狼ですよね。」
大柄のロボットに案内されたのは、格納庫のような施設で横一列に機械狼が並んでいた。
機械狼というのは、四足歩行の兵器で全長が2m以上あり、尻尾が長く、顔となる部分があり、歯はワイヤーカッターを兼ねている為そこまで鋭くはないが人の骨を砕くことは可能だそうだ。基本的に山岳地帯での物資の輸送に用いられており、他の用途としては迫撃砲や重機関銃のプラットフォームとしての運用がされている。
「かわいいでしょ。」っと、ヴァレンティーナさんは機械狼を撫でた。
狼はというと、それに反応して嬉しそうに甘えるような仕草をしていた。
ペットロボットとは異なり、さらに狼とも姿も中身も異なるその機械はあまり抵抗はなくなったとはいえ、かなり異質な光景に思えた。
「ええ、まじかで見ると結構…やっぱり怖いかな。」
「あらあら…まあ、そんなに怖がることはないわ。人に危害を加えることはないですもの。敵兵以外はね。」
「そうですか…。」
どういうわけか俺の近くにやってきた冬季用の装いをした機械狼は猫のように俺にすり寄るようにしてきた。
俺は、手袋越しに頭部を撫でると目を光らせるようにして喜んだ。
この子は、偵察用なのかヴァレンティーナさんの手元に居る大型のものとは違い、見た目は狼のようなのだが目が赤くなっていることからやはりロボットなのだとわかる。
この倉庫には、他に鳥型のロボットが存在しており、まるで動物園だと言わんばかりに天井近くを時折飛んでいた。
「その子は、あなたを気に入ったみたいね。」
「…そうでしょうか?なんていうか、ロボットに気に入られるっていうのはなんかあまりピンと来なくて…。」
「ええ…確かにこの子達は、もとになった動物の行動をある程度真似ていて、それこそネロ様より昔の王から私たち国民に贈られたギフトですからね。…ネロ様には、何もかもお見通しなのでしょう。」
「この子達を介して、ネロが見ていると?」
「そうね…。今はだれも居ないか…。」
「失礼しました。」
幸いなことに、近くに他の兵士は居なかった。
俺は、ネロとつい呼んでしまったが…やはり、敬称はつけておくべきだったと思い、訂正した。
「それにしても、やっぱり信じられませんよ。どう見ても本物そっくりですし…。」
「ええ、でも偽物は偽物に過ぎないとずっと昔から皇帝と魔女の力を見た人達は皇帝から伝えられていたそうよ。」
「…そうかもしれませんね。確かにこの機械は動物の模倣で、仕草とかの感情表現もただ現しているだけにも見えます。だから、本物の動物のようであっても本物ではない…かな。」
「まあ、そうは言っても…この子達はこの子達だし、少なくとも感情とか気持ちとかも真似ているのかは皇帝自身も、そのように見えるだけって言っているから…感情の有り無しと真贋じゃなくて、ちゃんとその時々に正しい使い方をしなければならない道具として私は、この模倣機械…機械狼の世話をしているわ。」
ヴァレンティーナさんは、それじゃあ家に帰りましょうかと言い、たぶん、あなたの方が先に家に着くと思うから帰ったらアレッシア達によろしくと言って、そのまま…たぶん、司令部の方に向かった。
俺は、荷物をまとめてローマへと帰った。
家に着いた俺は、少々疲れがたまったとアレッシアに言い、温泉で有名なトスカーナ州という地域に一週間行くことにした。温泉自体は水着を着た混浴なのでステラ達、3人も連れて行くことができ、結局…なぜかアレッシアの兄とアレッシアも行くことになり、今は横に居て女性の水着を見てはいろいろ考えていそうなLeonida(レオニダ)と共に温泉に使っていた。
ちなみに、レオニダが一緒に来た理由は軍から俺の警護を命じられたとのこと…おそらく、アレッシア→レベッカ→軍→レオニダと回って来たのだろう。
あとは、Arnoldo(アルノルド)さんから連れていって上げて欲しいとIrene(イレーネ)も行くとこになった。
ここ、トスカーナ州は古くからの温泉地らしくかなり有名な温泉地で一緒に山での演習をしていた兵士からこの場所のことを知ったのでアレッシアに温泉に行きたいなぁ~っと言って行くことになった。
ここの温泉はなんと言っても、段々畑状の天然の温泉。
Terme di Saturnia(テルメ・ディ・サトゥルニア)、山中に位置しておりしかも入湯料も無料で、まさに大自然。
この温泉の後も、他の場所を訪ねて湯治をする予定になっていた。
「…あったかいですね。」
「ああ、そりゃ温泉だからね。昇(のぼる)、あの3人組はどうだ?」
「…う~ん、いまいち。」
「なぜに!」
「遊び慣れてそうで…。」
「そこがいいんじゃないか、ガードがゆるゆるで…。」
「ガバガバの間違いでは?」
「気が楽だぞ…。」
「楽でも、あんまり味がしなさそうですよ。」
「ああ、確かにそんな感じがしてきた。…なるほど。」
「あの娘はどうです?」
「少し瘦せすぎだな。」
「胸は大きいですよ?」
「いやっ…昇…俺が好きなのはおっぱいじゃなくてケツなんだ!わかるか、尻だぞ!」
「えぇ…。」
「わからないのか!」
「わかりません…だって、後ろ側だし…いつも見えるし…。」
「顔を見て絶望するよりはましだ!」
「…どっ、どうでしょ…。」
とまあこんな感じで、レオニダはそろそろ彼女を見つけて結婚しなくてはならないとアレッシアは言っていたが、この様子では難儀だと思った。
だいたいなんで…ケツというか、ヒップというか…お尻なのだろうか…。
個人的には《自主規制》に近いのであんまり好きではない、やはり…その男なら胸というか…その…おっぱいだろう。
確か、達也(たつや)もお尻が好きで俺と満(みつる)が胸が好きだって話し合ったけ…懐かしいな…もうかなり昔のことだ。
レオニダと査定及び視姦していたわけなのだが、ここでようやくアレッシア達がやって来た…のだが…。
「…ご主人様、お待たせいたしました。」
「ステラ…その水着は?」
「スリリングショットです。」
そう…ステラが着ていた水着はスリングショットという、90-60-90条例もびっくりな水着だった。
いやっ…ただの紐…。
「ああ、よく似合っているよ。」
「ありがとうございます、ご主人様!」
周りの人目を気にしたが、どうやら大丈夫のようだった。
それ以上に刺激的な水着姿の人達も居たのでなんとかなってしまったということだろう。
「主殿…私はどうでしょうか?」
「きれいだよ、紅(くれない)…。」
「可愛くはないのですか?」
「可愛いです。」
「さすが、主殿、良い目をお持ちです。」
「ご主人様、ミアは!」
「…似合っているよ、ミアにぴったりだ。」
「本当ですか!」
「うん、いいと思う。」
「ありがとうございます。」
紅はひらひらのパレオがついたビキニ、ミアはストレートにビキニで、アレッシアはいわゆる紐ビキニだった。
「アレッシア、みんなの水着って君が決めたの?」
「ええ、まあ…他にも種類がありますよ。」
「アレッシア…いくらなんでも水着選びがかなり壊滅的というか、ステラちゃんに至ってはもはや水着じゃなくて、線だよ!」
「いいじゃないですか、兄さん。店員さんにいい感じのはありますかって言ったら普通の水着のほかにこういうのがいいって言ってましたし…。」
「いいか…アレッシア、水着が良ければ綺麗にも可愛く見えるわけじゃないんだぞ…普通の水着でもドキドキさせることができてだな…。」
「まったく…兄さんはうるさいですね。ねっ、イレーネさん。」
「アレッシア様…レオニダさんの言うことにも一理あるかと…。」
そう、フレアトップビキニのイレーネが言った。
「昇さんはどうですか?」っと、アレッシアに聞かれたので悪くはないよっと俺は言った。
まさかとは、思っていたのだが…今度はマイクロビキニを着てきたというのはまた、別の話。
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