第90話 3体の機械娘
ローマ帝国 ローマ
…どこからどう見ても人間…だよな。
俺は、じっくりと貰ったロボット(?)を観察した。
めちゃくちゃ可愛い。
というか、ネロのセンスなのだろうか…それぞれ、個性的というか秋葉原系なのかわからないがメイド服が着せられていた。
それも、メイド喫茶にあるような黒と白のゴシックなフリル付きの物。
もう一人は、袴のような物。
最後の一人は、学生服だった。
「うわっ…きもっ…。」
「口を慎みなさい、アレッシア…。」
「ごめんなさい、レベッカ様!しかしですね…昇さん…いくらなんでもそんなHな目で凝視しないでくださいよ…。」
「いやっ…そんな目で見てないって…。」
「絶対に視姦していました。…確かに用途はそうですけど…人前ではご自重ください。」
「あははは…、確かにそうだけど…人みたいだなぁって思って…。」
「だからといって、そんな孕ませてやろうみたいな目を向けるのはどうかと思います!」
「…そんな目を向けてたかな…レベッカ?」
「いいえ、とても健全な目をしていらしました。」
「…。」
この間も、そこに居た少女ロボット達は何も言わずに時折まばたきをしてそのまま立っていた。
金髪ロング青い目のメイド服と、青髪ショート薄い水色の目の学生服、黒髪ポニテ紫の目袴刀2本差しのロボット、3体だ。
とりあえず、名前を聞こうかなとは思った矢先、青髪のロボットがこれはまた機械的な片言の話し方をして俺に話しかけた。
「初めまして、長篠(ながしの)昇(のぼる)ご主人様。」
「…えっ…しゃべった?」
「はい…その通りでございます。…アレッシア様、レベッカ様、何か至らないところがありましたでしょうか?」
「いいえ、あなたは何も悪くないわ。Stella(ステラ)。」
「…昇さんには、未知との遭遇ですから驚いているのはそのせいだから、気にしなくてはいいわ。」
「そうですか…驚かせてすみません、ご主人様。これからもよろしくお願いいたします。」
「ええ…ああ、うん…。」
「それと、あまり女性の胸部や肢体を確認するのは良くないことかと…。」
「…。」
そう、ステラというロボットはまるで人のように顔を赤らめ恥ずかしがるしぐさをした。
というか、そんな仕草ができるのかよと思わずツッコミたくなった。
「どうかしましたか?」
「いやっ…電源入れた覚えがないんだけど…。」
「?…おかしなことをおっしゃいますね…ご主人様は…。」
「電源ボタンとかある?」
「いえっ…プラグ端子ならうなじの下部分にありますが?」
「なるほど…見せてくれる…。」
「…セクハラですね…最低です。」
「ええ…。」
なんで、ロボットにそんなこと言われなければならないのかと思った。
だが、やはり彼女がロボットだってことを確認したかった。
「それじゃあ、こっちに来てしゃがんで…。」
「了解しました…ご主人様…。」
彼女のメイド服はうなじの部分より下が布で見えなくなっていたのでアリッシアと、他のロボット達からの視線を感じたが人差し指を入れて覗き込んだ。
確かに4つの丸い円があった。
だが、どのような端子を入れるのか見当もつかなかった。
「ご主人様…お止めください…。」
「ああ、悪かった…。」
「うわぁ…最低…。」
「アレッシア!」
「ごめんなさい…。」
「まったく…。」
「確かにロボットだね…レベッカ…。」
「ええ…そうですよ、気に入りましたか?」
「ああ…なんていうか、SFの映画の中に入ったみたいというか…少し怖くなった。」
「そうでしょう…ですが、人としての品位を落としてはいけませんよ。」
「…それは、どういう意味で?」
「ロボットだからといって暴行してはいけません。」
「なるほど…。」
「もっとも、そのロボットはネロ様の管理する魔法核が入っていて、その娘を殴ったり気づ付けたり酷いことしたらすぐさま、有害人物判定されて処刑されるからそんなことしないように!」
「しないって、そんなこと…。」
「まあ、そうだといいけど…でも、本当に処刑されるから気をつけてね。それは、ネロ様から賜ったものだということを忘れないように。」
「わかった…気をつけるよ。」
「それでは、アレッシア…あとのことは頼みましたよ。」
「はい、レベッカ様!」
「お父様とお母様にはよろしくと言っておいてください。行動計画には変更はありません。寄り道せず家に帰りなさい。」
「はい!」
「昇さん…。」
「はい…なんですか?」
「休暇中に必要な費用はアレッシアに持たせていますが、あまり使い過ぎないように!」
「…気をつけます。」
「あと、禁煙禁酒すること!それと、女遊びはほどほどに!」
「レベッカ様、女遊びも禁止にするべきでは?」
「私もそう思いますが、ネロ叔父様直々の命でありますのであなたのお兄さんを介して遊ばせるようにしてください。」
「了解しました、レベッカ様!」
「任せましたよ。」
「はっ!」
そんなわけで、残り2体の名前を知ることもなく彼女の家に向かった。
ロボットは自分達で乗り降りできるらしく、他の車に乗り込み…運ばれて後から家に着いた。
家は、かなり大きく俺とロボット達の2部屋を用意してくれた。
家具は既にあって、その後ローマ帝国軍の制服と下着、Carcano Mod. 1938(ライフル)とBeretta(ベレッタ)M1915、Glisenti Model 1889の拳銃2丁、Modello 1938A(サブマシンガン)(サブマシンガン)、あとは銃剣の他にgladius(グラディウス)という短刀とspada(シュパータ)という長刀など、各種装備ももらい充実はしていた。
さっそく、ネロから頂いたロボット娘を使おうと3人を呼んで、荷解きを任せるついでに名前を聞くことにした。
家主への挨拶もしていないが、とりあえず彼女の達の名前を先に聞いておきたかった。
「ステラは、そのまま続けといて…それじゃあ、黒髪の娘から名前を教えてくれる?」
「はい、私のことでございますか?…主(あるじ)殿?」
「…?」
「どうかされましたか?…それとも、私…何か主殿の気に障ることを言いましたか?」
「いやっ…何で、主殿って呼ぶのかなって思って…。」
「嫌でございましたか?…言語設定では日本語となっておりますが?」
「言語が設定できるの?」
「ええっ、発音時に魔術を用いるためマスターには設定した言語が聞こえます。発声自体はラテン語になっております。」
どうやら、ボナパルトの能力のような感じの同時通訳が行われているみたいなことはわかった。
「う~ん、それじゃあ…呼び方を変更したいんだけど?」
言語設定はそのままで良かったので、呼び方を変えることにした。
この娘は、日本風のサムライ娘みたいな感じ…というより、そういうデザインなのだろう…。
ポニーテール袴の…。
「主殿…それでは、何と呼べばよろしいのでしょうか?」
「ご主人様で…。」
「申し訳ございません…アイデンティティに関わるので他の呼び方をご提案くださいませ。」
そう聞いて、少しイラッとしてしまったが抑えた。
いやっ…何でご主人様って、俺が言ったのに否定されなきゃならないの!
スマートフォンで、すいません、よく聞き取れませんでしたと言われるくらいの感じだが、彼女はそれを感じたのか少し申し訳なさそうにした。
なんていうか、それが…人の模倣なのかもしれないが…心に来た。
「わかった、それじゃあ…名前を教えてよ。」
「名前ですか?紅(くれない)と言います。」
「紅?」
「はい、紫(むらさき)紅です。」
「わかった、よろしく紅ちゃん。」
「はい、主殿!」
紫紅か…。
繋げて紫紅(しこう)とも読める。
さて、最後の一人だ。
「じゃあ紅は作業に戻って…。」
「はい、主殿!」
「じゃあ金髪ちゃん、名前を教えてくれる?」
「はい、ご主人様…Mia(ミア)でございます。…家事から夜のお勤め、戦闘まで何でもお任せください。」
「えっ…ああ、よろしく…ミア…。」
「はい、ご主人様…。」
おそらく…この娘は人をダメにするタイプなのだろうか?
慈悲深いというか、優しいというか…母性というか…。
たぶん、ダメ人間製造機…なのだろう…。
柔和な声ではあるが、妙な脅迫感があり捕まえたら逃げられない…そんな甘美な罠だと思う。
ちなみに、彼女の胸部は3人の中で一番大きい。
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