第30話
秘書ゴブリン「伐採場を造ると一定時間ごとに木材が増加するようになります。早速造ってみましょう!!
→はい
いいえ
「おい。なんだこいつは?」
「NPCの秘書ゴブリンだな。ギルドの設備を拡張する際には彼に話しかけるんだ」
「いやこういうの普通美少女だろ?」
「うちのギルド人口比で圧倒的にモンスターだからなあ」
「人間のギルドだったら女僧侶とか女騎士とかエルフ弓使いとか剣の乙女とか牛飼い娘とか選び放題なのに」
「くそっ!モンスターにも美少女がいるだろう!ダークエルフとかっ!!秘書を変更だ!」
秘書ゴブリン「ギルドレベルが足りないようです。レベルを上げてください。
「なら課金して」
「そんなものは不要だ。廃課金魔王」
「なんだと!?ただのホームレスの分散で!!」
「まずは私ができたばかりの伐採場に行く」
人間「なんでも言うことを聞く!!殺さないでくれ!!
「そしてこの男のとなりに私が座る」
人間「哀れな乞食がいるなあ。ほれ。こいつを恵んでやるよ
「で、ギルドに納品を選択」
木材資源65553を入手しました。倉庫が一杯になりました。
「おい。お前今なにやった?」
「さあ。次は採掘場を造るのだ」
「わ、わかった」
秘書ゴブリン「採掘場が完成しました。これで石材が取れるようになります。
人間「何でも言うことを聞く!殺さないでくれ!!
「そして私がこの男のとなりに座る」
人間「哀れな乞食がいるなあ。ほれ。これをやるよ
「ギルドに納品を選択」
石材資源65553を入手しました。
銅鉱石を入手しました。
倉庫が一杯です。
「い、一杯何が起こっているんだ!!?」
「そうか!これはまさかっ!?」
「何かわかったのか鎧魔王!?」
「これはテストプレイで見落とされたシステム状の仕様だっ!!」
「システム状の仕様だって?!」
「おそらくこのゲームも正式サービス開始前にテストプレイはしていたはずだ。その際に数百人。数千人程度の街を作製し、そこに乞食のNPCを用意。配置していただろう」
「ならこんなバグすぐに気づくはずだろう?」
「おそらく開発段階では乞食のキャラクターは街の隅っこの方に配置されていたのだろう」
「なんで街の隅っこにほうちしたんだ?メインストリートに。例えば王様の玉座の前がいいんじゃないのか?」
「デザイナー担当のスタッフが許すわけないだろう!!世界観が壊れてしまうっ!!当然乞食のキャラクターは街の隅っこだっ!そして一週間程度放置してから開発スタッフが各キャラクターの状態や所持品をチェックする。乞食は数枚の金貨や食料品などを所持している。まぁこんなもんだろう。とファンタジーの雰囲気づくりに協力してくれる乞食さんに感謝しつつテストプレイを終了。正式サービスが開始される」
「それがどういうことだ?」
「街の端っこ。つまり人があまり集まらない場所にいる事を前提にした結果、乞食のキャラクターが一度の接触により入手可能なアイテム、お金の値が異常に高く設定されてしまっているんだっ!!」
「な、なんだってえええええええ!!!!」
「その通り。私の持つスキル。『物乞い』を使えばNPCから入手できる資源や資金の量を飛躍的に増大させることが可能だ。もちろんレアアイテムの習得率を増大させることも」
テーブルの上に空き缶を置いて、乞食は。いや。ホームレス魔王はニヤリ。と笑みを浮かべた。
「し、しかし!!そんな凄い能力を持っている奴がどうして我々の元に!!」
「そうだ!人間のパーティに入ればいいじゃないか!!」
「入ろうとしたさ。だが職業を見て、キックされた」
「外れスキル。物乞いを持った乞食。人間パーティから追放されたので魔王軍幹部になりに来たのか?」
「そうだ」
「わかった。受け入れよう」
こうして。ホームレス魔王が誕生した。
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