第28話

 ジェイムズ氏が電源を入れる。

 ボリュームのある銀髪を双尾の形に結び。

 爪にはマニキュア。目にはアイシャドウ。そして唇にはリップ。それらはすべて紫色。白い肌を妖艶に彩る。弾力ある乳房。大きく突き出た尻。流石に全裸。というわけではなく煽情的な肢体を竜胆色のビキニのようなものを身に着けている。


「しっかしこのロボット。どっかで見たような感じがするな」


「なんだクースケ。こういうの女が好みか」


「いやそういうんじゃねぇよイッパイアッテナ。マジで見たような気がすんだよ」


「そりゃあるだろ。ほれ」


 ジェイムズ氏は携帯に凸面鏡アプリを入れて人形を撮影した。太って見える。


「あれ?これのお袋になんだか似ているような」


「昔話をしよう。今ではもう十年以上前の事だが、私は紀元前のワルキューレオンラインというMMORPGというのをやっていた」


「MMORPG?なんだそれは?」


「コムリンクを使ってマトリクスの中に精神を飛ばして遊ぶゲームの事だぜ。自動運転の車の中で通勤しながらゲームができるだぜ。クースケ。お前そんな事も知らねぇのか?」


「俺はマニュアル派なんだ」


「交通事故が起きると大概自動運転装置を造った会社とゲーム会社の間でどっちに責任があるか裁判で揉めるらしいぜ」


「そのゲームは非常に自由度が高いゲームでね。自分が好きな外見のキャラクターを造る事もまたゲームの世界も好きな行動をとる事をできた。モンスターのキャラクターを造る事も街の住人を襲う事も。そしてプレイヤー同士で殺し合いすることも。まぁ常識的に考えてモンスターと言うのは悪役なんだから人間に倒されるのは当たり前なんだが。始めたばかりのLV1がいこつ、とかLV1ゴブリンとかを造ったプレイヤーが人間のキャラクターを造ったプレイヤーに即殺されて、このゲームつまらん。と辞めてしまったら可哀そうだろう。だからモンスターのプレイヤーの為をギルドを有志で造ったんだ」


 懐かしい目をして、ジェイムズ氏は語り始めた。

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