第21話

 クースケはイッパイアッテナと共に発見した人形を布袋から出した。


「俺、爺さんにゴミ収集車の仕事を紹介してもらったよな。その途中でこいつを拾ったんだよ」


「ほう?こいつは。掘り出し物だな」


 ジェームズは肩眼鏡を出すと掘り出し物の鑑定を開始した。


「どうだい。すげぇだろ?」


「ふむ。人工皮膚はかぶせられていないようだが。新品同様の人形か」


 ジェームズはなぜクースケが自分を訪ねて来たのか。だいたい見当がついた。


「これをどうするのかね?パーツの買い取りかな?それとも」


「修理すれば使い物になるんだろ?じゃあ修復で頼む」


「おいおい。私はこうみても『アバランチ』の幹部なんだよ?」


「『アバランチ』?」


「この辺りのスラムを牛耳っているヤクザの名前でね。まぁ名前なんて本当はどうでもいいんだ。別にレッド拾三でもヒュージケルベロスでもいいんだけどね」


「エアリーズでもバレットでも構わないわけだ」


「その通り。ヤクザなのでイッパイアッテナ=クン。君が望めばセックスワーカーの紹介をさせて貰うのだがね?」


「おー。俺にセックスワーカーの仕事を紹介しろやー」


 『AKIRA』のエプロンドレスを着たアロットがちょろちょろしながら言った。


「事情は既にメールで読んだ。ストリートチルドレンを拾って来たらしいな。まぁ当人が望むなら仕方あるまい。12960000分後にセックスワーカーの仕事を紹介しよう。その前にコルデー=クンから必要な教育を受けてくれ。まずはこの店で働くための読み書きそろばんとウェイトレスとしてのマナー。後は銃の撃ち方だ」


「おー。頼のむぞ」


「はい。畏まりました」


 ちなみに12960000分後はおおよそ三年後である。

 元ストリートチルドレン現正規ID持ちのアロットの身の振り方を話していると店内に男が一人。入ってくる。客ではない。金髪の男。

 クースケの隣に彼が座った。青い制服。都市警備(シティガード)だ。


「なんだ。クラウズ=サンか。後にしろ」


「今じゃないとだめだ」


 クラウズはクースケの手に手錠をかけた。


「スズキ・クースケ=サン。貴様を殺人容疑で逮捕する」

「なんだとおおおおおおおおお!!!!???」


 クースケは殺人罪で逮捕されてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る