第15話
夜の街。
ネオン輝く繁華街を一人の女が走っていく。
女は男もののコートを羽織っていた。
しかし歓楽街であり、人混みも多い。女を気に留める者もいない。女がコートの下が全裸だと気づいたとしても、客を探しているだけのストリートセックスワーカーだとしか思わないだろう。
彼女にはそれだけの十分な色気があった。
ボリュームのある銀髪を双尾の形に結び。
爪にはマニキュア。目にはアイシャドウ。そして唇にはリップ。それらはすべて紫色。白い肌を妖艶に彩る。コートの上からでも弾力ある乳房があるとはっきりとわかる肉付きをしていた。
「よう。姉ちゃん」
給料もらったばかりの男がいくらだい?と声を賭けようとしたが、それよりも凄いイベントが始まった。
酔っぱらい同士の喧嘩である。
すぐさま即興の賭けが始まった。
「はドーケンだっ!はドーケンを出すんだよおらっ!!」
が、代わりに相手がポケットから出したのはナイフだった。
「キャアアアアアアアア!!!」
通行人の女が悲鳴をあげた。
男がナイフで相手の腕を切り飛ばした。
次の瞬間。通行人の女が腹を抉られて倒れた。
劣勢だった男は腕を切り飛ばされたのではない。男はサイボーグだったのだ。腕に仕込んでいたビームガンを使用したのだ。
「そんなチャチな獲物で俺に勝てると思ったのか?ブァカメ!!俺様のメガ・マン・ゼロ・エックス・バスターは九十七万新円もしたのだっ!!こいつでてめぇを吹き飛ばしてやるぜぇえええ!!!!」
筋骨隆々な男は左手のメガ・マン・ゼロ・エックス・バスターを発射した。そして何故か右手にはふっくらした股間のイチモツよりも遥かにチンケなデリンジャーを持っている。なんて凛々しい姿なんだ。まるでジャパニーズゲームカルチャーに理解を一切示さない、アメリカンなデザイナーが描いたゲームのパッケージイラストの様だっ!!!
そう!ガンバードをモビルライトフォースとして移植販売しつつ、式神の城をモビルライトフォース2として販売するような、それくらいのデザインセンスであるっ!!
ちなみに右手に股間の44インチ砲より遥かに小さい7ミリ対空機銃を装備しているがそちらは絶対に使用しない。
「メガ・マン・ゼロ・エックス・バスター!!メガ・マン・ゼロ・エックス・バスター!!」
使用するのは左手のメガ・マン・ゼロ・エックス・バスターのみであるっ!!なぜならばメガ・マン・ゼロ・エックス・バスター彼の銃を持つ自由を守るために必要な武装だからだっ!!!
巻き添えになってしまっては溜まらない。一斉に怯えた声をあげ、逃げ出す群衆たち。
騒ぎを聞きつけ、直ぐに近くのKOUBANから都市警備の人間がやって来る。二名ほど。
「おい。何の騒ぎだ?」
男もののコートを羽織った色っぽい女に都市警備の二人組は聞いた。質問の返事が来る前に歓楽街の奥から銃声と閃光と悲鳴。
「あっちだな」
「こちらネオオオミヤネオラクーンストリート。繁華街にて銃撃戦発生。応援求む」
「ネオラクーン応援要請受諾。市民の救護活動をしつつその場で持ちこたえてください」
「あっちだ!!お廻り!!」
「相手は一人だ!!とっととぶち殺せっ!!」
「へいへい。どうする?」
「手前まで行って様子を見る事にしよう。俺達は『お廻りさん』だからな」
都市警備の二人は無線で応援要請をした銃を抜くと、ネオンの光へと消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます