ブンラク・エンタテイメント・レインモーニング
第13話
スズキ・クースケ。
銀色の髪と赤い瞳を持つ彼は。
元来は日本人ではなかった。
仕事の関係でネオサイタマに来ているロシア人の息子であった。
彼はその日、いつものように黒パンにチーズとサラミを乗せた朝食を取った彼は学校に向かった。ロシア人女性にありがちなある一定の年齢の達すると急速に体重が増えだした母は弁当を持っていくかと尋ねた。そう。ロシア人女性は加齢とともに急速に体重が増加するのである。
それは寒さに耐えるべくロシアの食生活と、人間の代謝能力の影響のせいであって、女性の外見云々の問題ではない。
黒パンとチーズとサラミサンド。
彼は途中のコンビニで買うと断った。
彼はその日。母が黒パンとチーズとサラミを持っていくか尋ねた時、それを断ったことを今でも後悔している。
夕方。自宅に戻ると。
父と母がリビングで血まみれになって死んでいた。
リビングにはワニがいた。
なんと!!
彼の両親はワニに食い殺されていたのであるっ!!!
「まぁ。ロシアにはワニは住んでいないだろうからね。寒いし。でもネオサイタマ違うんだ。最近はペット用に海外から不正に輸入されたものを購入しておきながら、大きくなって飼うのが面倒になって、川や池に捨ててしまう。そして野生化した外来種が被害をもたらすという事件が時々あるんだよ」
両親の仕事の取引先だという老人は葬儀の席でそう言った。
「この国でロシア人の子供が一人暮らしをするのは大変だろう。とりあえずこれだ」
老人は写真のついたIDを少年に渡した。
「当面の生活保護が受けられる。中学が出るまでは安心だ。一応その後も面倒もみよう。可能な範囲で」
老人と共に街の役所に行った。
「スズキ・クースケ様ですね」
「生活保護の申請。受理の申請書はこちらだ。そしてIDはこれ」
「すべて問題はありません。来月より口座に振り込まさせて頂きます」
役所を出た後老人は言った。
「この国の役人共のダメな部分だな。システムがおかしいのに一向に直そうとしない。まぁ。精々利用させてもらおう」
老人は役所の自販機で10新円で購入できるソイコーフィーを買うと、君も飲むかね?と尋ねた。不味いからいらないと。その時は少年は断った。
「まだ名乗っていなかったな。私はジェイムズと言う」
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