フェニックス・オブ・コーラ
第1話
ネオサイタマ。オオミヤエリア。
オオミヤは大都会である。四百年前世界征服を目論んだ魔王ヒデヨシを倒し、三全世界に平和を取り戻した勇者イエヤス。彼が築いたニッコーカイドーもまたオオミヤを通っているのだ。
それに引き換えネオクリハシは田舎である。荒涼とした砂漠が広がり幹線道路脇に僅かな休息を取る為のドライブインがある程度だ。
いや。ネオクリハシは重要ではない。ネオサイタマオオミヤエリアが大都会であるという事が重要なのだ。
現にオオミヤステーションには新幹線が停車する。ネオクリハシには停車しない。あと新幹線は戦闘形態に変形し、ビームとミサイルとマシンガンを発射する事が可能だ。乗車している上級国民を守る為である。
新幹線に乗れるのは上級国民だけである。下級国民はローカル鉄道を利用する。
そんな新幹線から一人の女性が降り立った。
彼女は金髪縦ロールであった。
彼女はフランス系アメリカ人だからである。
彼女はスタイルがよかった。
彼女はフランス系アメリカ人だからである。
彼女は赤い薔薇のついた白のバケットハットをかぶっていた。
彼女はフランス系アメリカ人だからである。
彼女はフランス語が話せる。
彼女はフランス系アメリカ人だからである。
彼女は英語が話せる。
彼女はフランス系アメリカ人だからである。
彼女はアイスクリームを手作りできる。
彼女はフランス系アメリカ人だからである。
アイスクリームに関しては少し補足がいる。
アメリカ人はアイスが大好きなのだ。だからみんな太っているのだ。そして彼女の 父親はアメリカ人である。
フランス人は料理が得意である。彼女の母親はフランス人だ。だから彼女はアイスクリームを手作りできるのだ。
フランス系アメリカ人の彼女がなぜ。ネオサイタマにやって来たのか。
それは幼稚園の先生になる為だ。
彼女はアメリカでネットでナロニメーションアニメを見た。
言葉をしゃべり。二本足で歩き。そしてアイスクリームを造るだけで神として崇められる。
そんな生活に彼女は憧れていた。
しかし。自宅のパソコンの前でフルダイブMMORPGをプレイしてても太った父親に夕飯のバーベキューの時間だと怒られるだけだった。
ああ。自分もナロニメーションアニメの主人公のように女神と崇められながら。この素晴らしい世界に祝福されながら生活したいものだ。
できるじゃないか。
幼稚園児相手にフランス語と英語の先生をすればいいじゃないか。
幼稚園児相手に母親から教わったフランス語を交えながらアイスクリームを造りながら母国語を教えればいい。
それだけで自分は女神様やんけ。
彼女はモンスターハンティングライジングの協力プレイで知り合った伝手を頼りにこのネオサイタマにやって来たのである。
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