サイバーパンクネオサイタマ
虹色水晶
第0話
真っ黒な室内。
いやここは室内ではない。
電脳マトリクス空間に造られた仮想現実の世界で複数の人物がテレワーク会議を行っていた。
カンジチョー・ニカイ。
コイケ・ユリコ。
ガン・スー。
ハツバ・スートマ。
ハツバ・スートマは一見するとオーストラリア人に見えるがネオジャパン人である。その証拠にオーストラリア人に尋ねると、ハツバ・スートマ?そんな名前のオーストラリア人は存在しないと答えるだろう。
そしてテトロス。
テトロスはネオジャパン人である。
黒人であるがネオジャパン人である。
一見するとエチオピア人に見えるがネオジャパン人である。
エチオピア人達に尋ねるとテトロスなんていうエチオピアの元保険省大臣は存在しないと皆口をそろえて言うだろう。
「では、『異』世界オリンピック委員会第99回会議を執り行う」
なんとっ!!彼らは『異』世界オリンピック委員会のメンバーだったのであるっ!!
※『異』世界オリンピック委員会であって世界オリンピック委員会ではありません。
IOCと省略しますが
Isekai Olympic Committee
であり、実在する組織である
International Olympic Committee
とは何の関係もありません。またこの作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件その他一切関係ありません。
「ところで、ヨシロー・モリの姿が見えぬようだが?」
「彼は処分したよ。女性蔑視発言が絶えぬのでな」
「仕方あるまい。我々『異』世界オリンピック委員会にあのような品性のない男は不要だ」
なんと恐ろしい組織なのだろう!!『異』世界オリンピック委員会では女性蔑視発言をした者は速やかに処分されてしまうのであるっ!!!
※『異』世界オリンピック委員会は架空の組織及び団体です。現実のオリンピック委員会のメンバーは女性蔑視発言をしたあげく、私はスポーツ振興に今まで貢献してきたんだと発言し、数週間も自分の地位に居座り続け、周囲の必死の説得によってようやく辞任を評面するような役員がいるような組織などではありません。
「我々『異』世界オリンピック委員会は今から百年以上前。ナチスドイツによって設立された」
「左様。アドルフ・ヒトラー総統の偉大なる理念もと、聖火リレーを行い、オリンピック・インパクトを発生させる。それが我らオリンピック委員会の悲願」
「しかしファーストオリンピックインパクトは裏切者のチウネ・スギハラによって未然に阻止された。続くセカンドオリンピックインパクトもアメリカのカーター大統領によって」
「テトロス。君の責任は重大だよ」
「わかっております。アフリカ出身者の代表として。祖国アザニアの名誉にかけてもオリンピックを必ずや成功させてみせましょう」
「だが計画にかなりの遅延が出ているようだが?」
「ご安心ください。オリンピック公式スポンサーとしてゴルシ・コークとワールド・ライフ保険が新たに加わりました」
「なんだと?」
「資金集めは順調です。これにより下層市民共の金を使い、我らがオリンピックを行う事が可能となるのです」
なんという恐ろしい計画!!世界オリンピック委員会は人々から集めた金でオリンピックを行おうとしているっ!!それは一体如何なるものであるというのかっ!!
「計画はヒトラー総統が書かれ、アウシュビッシュ収容所遺跡から発見された古文書。我が闘争に書かれている通り。聖火はネオフクシマの原発から出発します。そしてネオジャパン全国をぐるりと一周。最後に会場であるネオサイタマアリーナに到着する」
「聖火リレーを行う事で全人類の魂が一つになる・・・」
「経済の袋小路に入った人類を新たな段階。ステージへと導く」
「我らの悲願がようやく叶う・・・」
なんと恐ろしい計画なのだろうかっ!!
彼らっ!!『異』世界オリンピック委員会はっ!!
アドルフ・ヒトラーが始めた聖火リレーを執り行おうとしているのだっ!!
それにより人類の魂を一つにしようと目論んでいるっ!!
それこそが彼らが行おうとしているサードオリンピックインパクトの全貌なのであるっ!!!
そしてそのオリンピックを開催するための費用はっ!!!
人々の納めた税金なのであるっ!!!
その金で病院を建てたり、道路や橋を修理して人々が暮らしやすい街を造ろうなどとは、彼らは全く考えていないのであるっ!!!
※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件その他一切関係ありません。実際の世界オリンピック委員会はこのような組織ではありません。
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