ビューティフル・アース〜冥王星の少女と水星の王子と8人の惑星王〜

さんすた

プロローグ

「遥か遠い所に、ここと同じように青い空をもった美しい惑星があるんだよ」


 そう言った彼の瞳は、星空よりも輝いていた。


「美しい惑星?」


 隣に並ぶ幼い少女の瞳も、同じように輝いていた。


「緑の自然と広い大地、青い海に真っ白な雲。そして、たくさんの生物がいる。でも僕達のようにお話しはできない。人がいない唯一の惑星なんだ」


 少女には想像できなかった。少女が住む惑星には、冷たい岩の塊でできた大地と氷、今見ている青い空しかない。それしか知らない。しかし、彼の話は心を踊らせる。未知の世界を知りたいという好奇心がふつふつと湧いてくる。


「誰もいないの?じゃあ、独りぼっち?可哀想」


 少女がそう言うと彼は少し驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの優しくて悲しいような笑みを浮かべた。


「そうだね。独りぼっちだ。けど、可哀想なんかじゃないよ。自由なんだ」


 少女はたまらず彼の腕を掴んだ。


「わ、わたし、美しい惑星に行きたい」


「きっとカイアなら行けるよ」


 彼にそう言ってもらえると、本当に行ける気がした。


「ねぇサイアス、その美しい惑星はなんていうの?」


「その惑星はね──」

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