エピローグ/歯車は動き始める




アンドレが消えてもう8ヶ月になる。そんなある日、俺たちのもとにある『天命』が舞い降りた。


「Mr.フランケンシュタイン、か。」


「そう。なんでも過去、他の研究者の反対を押し切り過激な実験を繰り返したマッドサイエンティストらしい。」


俺の目の前で資料に目を通すカツミがそう説明する。俺とカツミの他にも、何人かのスターズの先輩方、カレンと、そしてレイジーがいた。


「そして………」


「………? どうしたカツミ?」


突然黙りこくった相棒に俺は尋ねる。そうすると、カツミミはいやに真剣な顔で、その口を開いた。


「そして……教会の見立てではスターズ試験で起きた殺人事件にはこいつが関与しているらしい。」



「「「!?」」」



ゴウッと、プリン頭の女から廻が溢れ出た。


「レ、レイジー!」


「ああ、わかってる。少し動揺した。大丈夫だ。」


血走った目で彼女はそう告げた。しかしその獰猛な廻が収まることはない。やがて彼女は獣のように叫んだ。

 

「Mr.フランケンシュタイン、お前は私が潰す!!」


レイジーがカツミに問いかける。


「カツミ、そいつはどこにいるんだ。」


カツミは口を開いた。






俺とキューが復讐の旅に出て幾ばくか。俺たちはある山の中で過ごしていた。


流れゆく川のせせらぎを見る。だのに俺の心は静まらない。あの時からずっと、俺の心は奴を討てと燃えている。


「お兄ちゃん!」


「!」


キューの声がした。その慌てぶりに俺は立ち上がる。


「どうした、何があった?」


俺がそう問うと、キューは牙を出しその瞳に熱を持たせた。


「手掛かりを見つけたの!あの男の手掛かりを!」


「!」


俺は奮い立った。俺が放つ廻に地は揺れ、鳥たちは一斉に羽ばたいた。


「どこだ?……あの男はどこにいる!!!」


叫ぶような俺の声に、キューが口を開いた。







「「大陸最奥の地ダブルパンク」」

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復讐者A 透真もぐら @Mogra316

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