第26話 真実
バハムートの討伐を終え、辺りに何かないかとクリソが散策していると、木陰で帽子で顔を隠して横たわっている男を発見する。
男の方に触れても反応はなく、揺さぶっても起きる気配がない。
クリソが男の袖をまくり、脈を測ってみたがすでに脈は止まっていた。
その男に手を合わせて合掌をし、せめて墓に埋めてやろうと男の死体を運ぼうと持ち上げる。
その時、かぶさっていた帽子が地面に落ちてしまう。クリソは帽子を拾い上げ、自分のリュックに仕舞おうとした時したいと目が会い、叫ぶ。
「う、うわぁああああああああ!!!」
あまりの叫びにローラとリアンは急いでクリソの元へ駆けつけた。
すると、クリソは涙を流しながらアベンの死体を抱きかかえている。
これは一体どういう状況なのかしら・・・
二人が近くに来たのを確認すると、クリソはぼそりと話し始める。
「こいつは、俺の親友だったやつなんだ。古代生物や伝説の魔物が大好きなやつでな、毎日夜遅くまで研究やら読書やらをしてたんだ。でも、こいつは5年前に病気で死んだはずなんだ。でも、なぜかこいつは今こうして俺の目の前にいるんだ。何かの悪い冗談だよな?」
クリソは泣きながらローラ達に質問を投げかける。その答えは知っている。だが、その真実を教えたところでどうなるのか、そんな事を考えると不安で仕方がない。
しかし、こうなってしまった以上話してしまったほうがいいのかもしれない。
リアンは深呼吸をし、クリソに話しかける。
「リザレストーン、この名前を知っていますか?」
「・・・聞いたことはある。アベンが調べていたものの一つだ」
「あれは実在するんです」
「なんだと!?」
「恐らくですが、アベンは何者かの手によって蘇ったのでしょう。その時に精神操作魔法もかけられたのでしょう」
「そ、そんなバカな」
「ですが、魔物をけしかけて来たのは事実なんです!」
「それは・・・」
「クリソさん、この方はあなたの知る友人ではなくなってしまったのです」
クリソが涙を流しながら拳を握っていると、抱えていたアベンが目を覚ます。
「クリソ・・・なのかい?」
「アベン!そうだ、クリソだ!」
「ははっ、元気そうで、安心・・・したよ」
「待ってろよ、今回復薬を」
「それは無くても大丈夫だ、僕はもう時期死んでしまう」
「そんなことを言わずに飲んでくれよ、なぁ!」
「すまないね・・・だが、僕は取り返しのつかないことをしてしまった。その報いが来てしまっただけさ」
「お前は悪くない!悪いのは魔法を使った」
「いいんだ、止められなかった僕にも、責任がある」
「アベン・・・」
「クリソ、俺はいつまでもお前の味方だ。また空からお前の活躍を、見守ってる・・・から・・・な」
そう言い残すと、アベンは再び眠りについてしまった。
クリソはアベンを抱きかかえながら再び大量の涙を零しながら泣き続けた。
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