第20話 クリソの秘儀
キングサーペントの奇襲を防ぎ、見事ローラを守ることに成功したクリソ。
押し飛ばされたキングサーペントは態勢を立て直そうと必死になっているが、尻尾が岩の隙間に入り込み抜けなくなっていた。
その間にクリソとローラ達は状況を整えると思いきや、ローラの飛び蹴りがクリソの頰に命中する。
クリソは地面に倒れ、頰をさすっている
「な、なんてことをするんだローラ!」
「立ち直るまでどれだけ時間使ってるのよ!おかげで一匹討伐終わっちゃったわよ!!」
「確かにすぐ終わったけれど、もう一匹いたのは予想外だったわね」
「まぁ、そこに関してはあなたに感謝したいところだけれど、まだ勝負は終わってないわ。今度は3人で討伐するの。いけるわね?」
「もちろんだ!」
「じゃあ一気にカタをつけにいくわよ!!!」
作戦会議を終えると、リアンが魔法で二人に移動高速化魔法「ブースト」をかけ、ローラ達は一気にキングサーペントの元へ近づいて行く。
尻尾が抜けたキングサーペントは大きな声で咆哮する。すると、地中から大量のデスサーペントが襲いかかってきた。
デスサーペントの矛先はローラ達のみならず、後方で呪文を詠唱し続けているリアンの方にも向かって行く。
しかし、リアンの方へ向かうデスサーペント達は一定のエリアに辿り着くと、そのまま炎に焼かれて跡形もなく死んでしまう。
リアンはローラ達の戦闘をサポートしながら、自分の方へ入り込んでくる魔物を全て討伐している。
二重詠唱くらいなら今のリアンにとってはとても容易いことなので、魔力の消費を抑えながらも自分の周りも守ることができる。
ローラとクリソは二人で頭と尻尾への同時攻撃をしている。
尻尾でなぎ払おうとすればクリソが止め、口から霧を出そうとすればローラが止める。
それを繰り返しながら徐々にダメージを与えていく。しかし、デスサーペントも倒しながらとなると話は別だ。
キングサーペントに狙いを定めていればデスサーペントに邪魔され、そっちに気を取られていると、今度はキングサーペントからダメージをもらってしまう。
そんな戦いを続けていると、次第にこっちに負荷がかかってくる。
そのことを危惧したローラがある決断をした。
「クリソ、キングサーペントはあなたに任せるわ。私達はこの邪魔な奴らを全部まとめて片付けるわ」
「わかった、こいつは俺に任せてくれ!!」
ローラがキングサーペントの元から離れると、ローラは自分の中のありったけの魔力を解放した。
すると、さっきまで色々な場所にいたデスサーペントが一斉にローラの元へ集まる。
それにつられたキングサーペントも向かおうとするが、クリソの剣に止められた。
「おっと、そっちには行かせないぞ。お前の相手はこの俺だ!」
キングサーペントはクリソに向かって怒りをむき出しにし、襲いかかる。
しかし、クリソはその攻撃をかわし、地面を踏み込んで飛びキングサーペントの脳天に剣を突き刺す。
最初は少ししか入らなかったものの、グッと力を込めどんどんキングサーペントの頭部に剣を埋め込み始める。
遂には剣の持ち手の部分だけが頭の上に取り残された状態になった。
その瞬間、クリソはキングサーペントの頭から飛び降り、呪文を唱え始める。
「これで終わりだ。クラッシュ!!!」
クリソが大声で呪文を唱えた瞬間、キングサーペントの頭部が凄まじい爆発音と共に弾け飛ぶ。
あたりには煙が立ち込め、煙が晴れる頃には首がなくなり、キングサーペントは地面に倒れていた。
無事にキングサーペントを討伐したクリソは地面に腰をおろし、笑みを浮かべ、大きな声で叫ぶ。
「キングサーペント、討伐完了!!」
クリソは見事、一度負けたキングサーペントを一人で討伐することに成功した。
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