第18話 アウイン山

国王から魔物の大量発生の原因を調査して欲しいと言われた三人は、王国の近くに存在するアウイン山へやって来た。

アウイン山に行く道のりで既にワーベアや、コカトリスと遭遇していたが、ローラとクリソの二人が勝負感覚で討伐しあっているため、道中の敵に苦労する事はなく、あっという間に山の目の前までたどり着いた。

成果としてはクリソがワーベア5頭、コカトリス7羽の合計12体。対するローラはワーベア10頭、コカトリス2羽の合計12体。

どちらも同数で結果は引き分けに終わったが、二人が得意とする魔物の種類はどうやら違うらしい。

クリソはどちらも満遍なく討伐してるが、飛行系の魔物に対する知識が豊富で、コカトリスに対しては余裕の表情で討伐をしていた。

対してローラは、大きい首を持つワーベアを好んで討伐していたが、飛行系の魔物はあまり討伐をしない傾向にある。

自分の元まで襲ってくれば討伐するが、飛んでさえいればローラが手を出す事はない。

二人が討伐し損ねた魔物は後ろからリアンが始末していたのだが、どう考えても魔物の数が多い。

昔はこんなに魔物がたくさん出現するような場所ではなかったはず。なのに、一体どうして・・・

そんなことをリアンが考え込んでいる間にも、クリソとローラは戸惑うことなくアウイン山に入って行く。

それに気が付いたリアンは慌てて二人の後を追いかける。

アウイン山を登っていると、山に大きな穴が空き、洞窟のような場所を見つけた。

気になったローラ達はその洞窟の中に入って行く。

辺りをランプで照らすと、中は真っ黒な空洞になっている。

何やら奥までまだ道が続いてそうだったので、どんどんと洞窟の奥に進んで行く。

すると、洞窟の奥から何かの威嚇の声が聞こえた。おそらく蛇型の魔物な何かだろうと思い、再び歩み始めた。

その瞬間、足元に何かが這いずった音が聞こえた。ランプの火を下にずらすと、下には大量のデスサーペントが蠢いている。

その数、実に30以上。ローラは驚きのあまり一瞬飛び跳ねたが、洞窟の天井が狭く、頭をぶつけてしまう。

ローラが一瞬驚いた事を察知したリアンの手により、デスサーペント達が次々と死んでゆく。

地面に炎を伝わせ、周りにまで被害が及ばぬよう、最新の注意を払いながら魔法を使う。

これがSランク冒険者の実力、すげぇ・・・

ローラに蛇の駆除が終わったことを伝えると、ローラは恐る恐るこちらに戻って来る。

ローラは別に蛇が苦手だとかそういう理由ではない。単純に地面に数十匹の蛇が足元でうじゃうじゃしてたら誰でもこんな反応になる。

蛇との戦闘を終え、最深部に辿り着くと、そこには何もなく、ただ無駄な時間を過ごしただけだった。

この後、山頂に着くまでは特に魔物と遭遇することなく、山頂にやってきたのだが、ここで不可解なことがある。

そう、この山頂にしばらく閉じ込められていた人の存在。

初めは山を進んで行くうちに何か情報が得られるかと思ったが、帰って来る人々が年々少なくなったり、することから別名デスマウンテン

とも呼ばれていたが、いまはそんな風貌もなくただの山であった。

調査に必要な書類はもう十分に書けたし、山から降りて帰ろうとした矢先、後ろからシュルシュルと音が聞こえて来る。

三人が後ろを振り向くと、そこには体長3mにもなりそうな巨大な蛇が威嚇していた。


「クリソさん、これが何の魔物かわかる?」

「いや、全くわからないな。こんなやつ初めてだ」

「そっか、ローラちゃんも知らないよね?」

「ううん、この子は知ってるよ。キングデスサーペント、蛇の中の王様だよ」

「にしては大きすぎないか!?」

「確かに言われてみれば・・・」

「とりあえず二人とも、準備は良い?やるわよ!」

「「おう!!」」

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