第16話 石の秘密
コカトリスとガルーダの討伐依頼を終えた二人はトリン王国に帰還した。
二人は馬車から降りると、歩いてギルドへ向かう。
その道中に露店で焼肉の串が売られており、ローラが食べたそうにしていたが、先に討伐依頼の報告をしに行こうとリアンに言われ、渋々露店を後にした。
歩き続けること数分、ギルドに到着した二人はギルドの扉を開ける。
扉を開けた瞬間、ギルドの中にいる全員がこちらに振り向く。
驚きの表情をしている者が何人かいるが、そんな事を機にすることなく、受付嬢の元へ向かう。
「依頼、達成して来たわ」
「は、はい!で、では達成の証拠としてコカトリスの素材を」
そう言われると、リアンはポケットから少し大きめな魔石を取り出す。
それを受付嬢がじっくりと観察しながら確認する。
「はい、確かに受け取りました。こちら、今回の報酬金です」
受付嬢が机の下から土台に金貨を乗せて差し出す。枚数は約300枚程、数年は遊んで暮らせる程の大金だ。
リアンは金貨を受け取ると、ポケットにしまいギルドから出て行く。
ローラとリアンがギルドからいなくなると、ギルド内に居た全員が息を吐き出す。
そして話題は二人の話で持ちきりになった。
「あの二人、もうコカトリス討伐して来たらしいぜ」
「早すぎるよな、いくらBランクの魔物だからって言っても俺達なら2週間はかかるぜ」
「一体、どうやって討伐したんだろう」
「見て見たいよな、あの二人の戦ってるところ」
ギルド内で談笑が続いている中、その光景を影から見ている謎のローブをまとった人物がいる事にまだ誰も気づいてはいない。
ギルドから帰って来た二人は焼肉の串を食べながら宿屋でゆっくりしていたのだが、ユウキから二人に王国へ戻って来て欲しいという緊急の連絡が届く。
リアンはあまり乗り気ではなかったが、ガルーダのことについて話があると言われたのでローラを連れ一度王国へ戻ることにした。
テレポートで自分の部屋まで戻り、そこから王室へ向かう。緊急だし、門からいかなくてもいいでしょ。
王室の扉を開けると、ユウキが椅子に座って待っていた。
「すまないな、急に戻って来てもらって」
「お父様、緊急の呼び出しってことは余程のことがあったんでしょ?」
「あぁ、とりあえずガルーダの討伐お疲れ様。あいつは手強かっただろう?」
「強かったけど、そんなにだったかな」
「いいところに気づいたな、ローラ。実はガルーダは一匹だと弱いんだ」
「そういう魔物もいるじゃない、それのどこに問題が?」
「ガルーダは自分の分身を作り出せるんだ」
「分身?でも、そんな様子なかったわよ」
「そう、今回はそこなんだ。作り方の甘いリザレストーンだと、蘇らせることはできてもスキルなどが使えなくなるんだ」
「つまり、今回私達が戦ったのは失敗作・・・?」
「そういう事だ。これだけは頭に入れておいて欲しい。完成品を使われると全盛期の力を取り戻すと」
「肝に命じておくわ・・・ローラちゃん、気をつけましょう」
「うん・・・」
「さて、話はこれで終わりだ。二人とも引き続き探索をよろしく頼むよ!」
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