第14話 影の正体

討伐して来たものが実際に被害を出していた魔物ではないことが発覚し、二人は再び建物の中で作戦を考えていた。

恐らく、実害を出しているのははるか昔に生息していたガルーダ。

大きな体と翼を持ち、大空を飛ぶ怪鳥。気性は穏やかだが、子供に手を出そうとすると怒り狂い対象を死に追いやるまで攻撃し続ける。

ガルーダが地面に降りると、風圧で近くの草花などが飛ばされてしまうこともしばしば。

昔は山頂の一部に住み着き、そこで生活していたらしいが食べ物が少なくなり度々人を襲うことが出て来たため討伐対象に設定され、長い年月をかけて冒険者が討伐を繰り返しており、そのおかげか年々ガルーダの被害報告は減っていき、ついには絶滅した。

そのような過去を持っているガルーダが今、蘇ってしまい、再び人里に降りて来ている。

これ以上村の人々を困らせない為にも何か策を練らなければ・・・

ガルーダは羽毛で厚く覆われている為、生半可な物理攻撃は無効化して来る。

かといって、魔法にも耐性がある為そんなに有効打としては扱えない。

こんな相手に一体どうやって立ち向かえば・・・じっと座って考えていても何も思い浮かばないのでローラとリアンは一回場所を変えようと建物の外に出たのだがその時、一瞬辺り一面が暗くなる。雨でも降るかと思ったが、すぐに日差しが戻って来た。一瞬で出来る大きい影、まさか!

二人が空を見上げるとそこにはこの村を通り過ぎようとしている鳥の姿があった。

あの大きさ、翼、やはり推測に間違いはなかった!!二人は急いで建物の中に戻り、作戦会議をもう一度やり直す。

今回の討伐はコカトリスの討伐ではなくガルーダの討伐。

大抵の魔物は今まで私たち二人でなんとかして来たけど、対策を知らない以上何もできないわね・・・

そう思ったリアンはローラと二人だけで話したいと村長に伝え、みんなに部屋から一度出てもらった。

さて、これならバレなさそうね。リアンが指をパチンと鳴らすと、リアンの目の前に謎の画面が現れた。

その画面を操作をすること数分、突然画面にユウキが映し出された。

ユウキが映し出されると、リアンはその画面に向けて喋り始める。


「ねぇ、今回私達はコカトリスの討伐で配属されたのだけれど・・・」

「なんだ、いなかったのか?」

「違うわよ!ただ、この村に恐らくだけどリザニウムを隠し持っていたやつがいるわ」

「・・・ほぅ、何か根拠はあるんだよな?」

「えぇ、何せ依頼を受けた先で被害を出していたのはコカトリスじゃなくてガルーダだったもの」

「なんだと!?そうか、あいつを蘇らせたか。厄介なことを・・・」

「それで、お父様なら何か知っているのではと思って」

「まぁ、確かに俺が冒険者としていた時はわんさかいたから攻略法は知ってるぞ」

「その方法を教えてください!」

「別に構わないが、そんなに難しくはないぞ?」

「それならもっと早く教えてください!」

「とりあえずガルーダというのはだな・・・」


しばらくの間ユウキによるガルーダ討伐講座が開かれる。

説明自体は難しいものの、やり方としては至極簡単なものだった。


「こんな感じだが、大丈夫そうか?」

「はい、おかげで無事に討伐できそうです」

「そうかそうか。ところで、今度そいつの肉を持って来てほしいんだが」

「何かに使うのですか?」

「いやぁ、そいつの肉は絶品でなぁ。何個食べても起きないというか」

「それではお父様、また後日」


ユウキが話しているところを強制的に落とし、リアンは資料の作成に戻る。

資料を作成している間、ローラはずっと券を振って練習をしていた。

そんなローラの姿を見ながら、リアンは自分の作業に戻る。

さぁ、明日が踏ん張り時だ、頑張ろう!そう自分に言い聞かせ、明日の戦いの準備を進めた。

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