第13話 コカトリス
コカトリス討伐のため、馬車で向かっていると段々と辺りの木々が荒らされていたり、草が飛ばされていたりと酷い光景になっている。
村に着いても静かな静寂が訪れていて、外には誰も出歩いている様子はない。
そんな中、一人の老人が杖を使いながらゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
「お嬢さん方、こんな荒れ果ててしまった村に何か用ですかな?」
「最近ここを荒らしているって噂のコカトリスを討伐しに来たのだけれど」
「コカトリスをですかな?そう言って貰えるのはありがたいが、お嬢様方じゃとても戦えそうには見えないのぅ」
「おじい様、あまり人を見かけで判断してはいけませんよ。これでも私達はSランク冒険者、コカトリスの討伐経験もありますわ」
「ほ、本当ですか!?」
「本当だからどこにいるか教えて欲しいのよ」
「これは失礼いたしました。ささ、こちらの家にお越しください。詳しい説明はそこで」
老人の案内のもと、二人は村の中心にあるレンガで補強された建物の中へ向かう。
建物に入ると、中には屈強な男が5人ほど集まって話し合っていた。
その中の一人がローラ達に気付くと、おもむろに近づいて来る。
「おいおい、どうしたんだい嬢ちゃん達。ここは君達のような子が来る場所じゃねぇぞ」
「まぁまぁ落ち着け。この方達は依頼を受けてくれたSランク冒険者の方達だよ」
「Sランクだと、この二人が!?」
「えぇ」
「信じられねぇ・・・」
「この二人に任せてみようと思っておる。だからこの二人にいまのコカトリスの出現場所を教えてあげて欲しい」
「わかったよ、村長が言うなら信じるぜ」
そう言うと、男は後ろの棚から地図を取り出す。
地図を広げると、コカトリスの出現した場所と被害が書き出されている。
出現する位置はバラバラではあるが、時間帯は決まって昼間のみ。
そしてその時間帯がそろそろ近付いてる。
コカトリスを撃退するために今日ここに五人の若者が集まっていたらしいが、今回は私達がいる。
安全に、そして素早く終わらせてしまおう。これ以上被害を出さないために。
みんなで作戦を立てていると、建物の中に勢い良く男が入って来た。
息を切らし、ドアに体を預けている。深呼吸をして呼吸を整えると大声で叫ぶ。
「コカトリスが出たぞ!場所は隣の畑だ!!」
その言葉を聞いた瞬間にローラとリアンは建物から飛び出す。
二人は一直線に畑の方に向かう。すると、そこには全長3m以上ありそうなコカトリスが翼を羽ばたかせながら空を飛んでいる。
ローラがリアンに合図を送ると、リアンの魔法でコカトリスを地面に落とす。
そして動けないように羽とくちばしを固定する。あとはローラがコカトリスの首を落とせば・・・討伐は完了。
思ったよりも早く終わって二人は拍子抜けしてしまった。
討伐したコカトリスを村へ持ち帰り、村長の前に差し出すと村長は震えていた。
「た、確かにコカトリスの死体だが、こいつではない・・・わしが見たのはこいつより何倍も大きかった」
「ど、どう言うことよ!コカトリスは大きくてもこれくらいなのよ!それでも違うって・・・」
リアンも悩んでいると、ハッとしたような表情を浮かべ、ローラに語りかける。
「ねぇ、ローラちゃん。私たちが見て来たコカトリスも大体はこのサイズよね」
「うん」
「でも、ここの村長が見たのはもう少し大きかった。そこから考えられるのは一つしかないわ」
「それってまさか・・・」
「えぇ、その考えで間違ってないと思うわ。ここでだれかがリザレストーンを使ったのよ」
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