第7話 リザニウム
盗賊団の確保からしばらく経ったある日、ローラとリアンは王城に呼ばれていた。
王城に向かうと、いつも話しかけて来ていた兵士達がこちらに話しかけてこない。
どうやら、今回の呼び出しは楽しいものではなさそうだ。
王室に入ると、既に青年の状態になっているユウキが待ち構えている。
私達を見るなり、玉座から立ち上がり口を開いた。
「待っていたぞ、ローラとリアン」
「本日はどうしたのですか?兵士達の態度もいつもと違うのですが」
「あぁ、それなんだがな、前にリザニウムを持った奴がいただろう?」
「確かにいましたけど、それがどうかしました?」
「あれさ、本物だったんだよ」
「えぇ!?で、でもお父様が偽物だって言って壊したって・・・」
「あれは、本来存在してはいけない代物だから処分したんだ」
「でも、なんで本物だってわかったんですか?」
「それは簡単だ、あの石を作ったのは俺だ」
「お父様、嘘は大概にしてほしいのですけれど?」
「嘘じゃねぇって、なぁそうだろ?スピカ」
そう言うと、スピカと呼ばれた女性が王室の扉を開ける。
緑色の長い髪、そしてエルフの特徴である長い耳、その人物を見るなり、リアンとローラは驚きで言葉を失う。
そんなローラ達の間を通り、ユウキの隣に行くと、空席だったもう一つの椅子に腰をかける。
この人物こそ、ユウキの妻であり、リアンの母であるガーネ・スピカだ。
「お、お母様!?ど、どうしてここに!」
「黙っててごめんなさいね、リアン。何も言わずに登場した方が面白いだろうって、ユウキが言うものだから。それと、久しぶりねローラちゃん」
「お、お久しぶりです」
ローラはスピカに優しく微笑まれると、少したじろぎながらも挨拶を返す。
というのも、ローラはスピカに対してもそんなに良い印象を抱いてない。
「んもぅ。ローラちゃんはもっと愛想良くしないと可愛さが台無しよ」
「別に、そんなのいらないし・・・」
「って、そんなこと言ってないで説明の続きしてよ!」
「あら、そうだったわね。ユウキがあの石を作ったって言うのは本当よ、昔に一度だけ使ったことがあるもの」
「・・・ちょっと待って、そんなものがあったら文献とかに記載されているはずじゃ」
「それはしなかった。あの石の作り方が広まってしまうと、人々は死に対して何も感じなくなってしまう。死んでもどうせ生き返るから何をしてもいいと。そう思わせないためにあの石は封印したんだ。だが、どういうわけかあの石が再び出て来てしまった。そこで、お前達二人にリザニウムの回収を頼みたい」
「わ、私達が?」
「あぁ、お前達はうちの国での最高戦力と言えるだろう。だからこそ今回の件を手伝って欲しいんだ。あの石が蘇らせることができるのは人間だけじゃない」
「まさか、魔物も・・・?」
「あぁ、蘇生可能だ」
「つまり、蘇生された魔物を討伐しつつ、リザニウムを探せばいいってことかしら?」
「そうだ、すまないが頼まれてくれるか?」
ユウキの問いかけに対し、リアンはローラの方をチラリとみたが、ローラは目を輝かせている。
これは答えを聞かなくても返事がわかるわね。新しい魔物が見れることに対しての興味が滲み出てる。
まぁ、私もちょっと興味あるし、ローラちゃん一人に行かせるわけにもいかないしね!
「お父様、この仕事喜んで引き受けさせてもらいますわ!」
「私もやるよ!」
「そうか、2人ともありがとう。それでは、これから2人にはトリン王国に行ってもらう。今回の所有者はそこの商人から石を買い取ったようだからな。もし見つかったらすぐに連絡をしてくれ」
「「了解!!」」
こうして2人はリザニウムを探すため、トリン王国へ向かうことになった。
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