それぞれの主人公たちが不思議な世界で巡りあい、ひとつの物語が紡がれてゆく群像劇型のファンタジーですね。
この作品の魅力は、やはり美しい世界観と繊細な描写でしょう。
現実的な喫茶店内の様子から不思議な異世界の様子まで目に浮かびますし、主人公たちの心の動きや料理の匂いまでも伝わってくるほどです。
物語の鍵を握っていると思われる「猫」のキャラクターも、とても素敵ですね。台詞のひとつひとつが軽快であり哲学的であり、彼が話している場面は何度も読み返したくなるほどお気に入りです。
文章も読みやすく、読み手のことを第一に考え、丁寧に執筆なさっていると感じました。
魅力的なファンタジーであると同時に、純粋な文学作品としても素晴らしいです。読者も登場人物と共に何らかの答えを掴み、共に成長できるような、そんな物語です。
かと言って堅苦しさのようなものはありませんし、リラックスしながら読むことができると思います。とても優しく、温かみのあるお話です。
ぜひ、多くの皆様に読んでいただきたい作品ですね。オススメです。