第54話




その後も練習したり知っている曲を何曲か合わせたりしてみた。途中何故か華帆が結月にギターを教え始めていて何故か師弟関係みたいになっているのが面白かった


帰りは結月を送っていかないといけなかったので裕也達に華帆を送って貰い俺達はバイクで帰った。


結月の家に行き晩ご飯を作って居る。今日は美味しいフランスパンを買ったらしいので、相性のいいアヒージョとトマトとモッツァレラのカプレーゼを作っている


「橙李のベース弾いてる姿カッコいいね!!」


そう言いながら横でトマトを切って居る結月、最近は2人で料理をしている


「ありがとう、てか結月こそギター弾いてる姿よかったよ、でも華帆とのやりとりが面白くて笑いそうになったけど」


「アレは教官が厳しいから…」


「教官って…」


「あ…華帆ちゃんが『今後私の事は教官と呼べ』とか言い出すからつい…」


「アイツ何やらしてんだよ…まぁ可愛いかったからいいけど」


「ちょっ…料理中に言うな!!手切るだろ!!」


「ゴメンって」


そんな会話をしながら調理を進めていき後少しで出来上がりとう所で結月が俺の服の裾を引っ張ってきた


「…ねーねー、橙李…ちゅーしたい…」


上目遣いで訴えてくる可愛い彼女に後でねと大人の対応が出来る訳もなく自然と結月の唇に自分の唇を合わせた。


「…んっ…もっと…」


そう言いながらお互いの舌を絡ませて合う、何分経ったか分からないが息が続きそうに無かったのでお互いの唇を離す


「…ご飯食べないとだね…」


そう恥ずかしそうに俺に抱きついて言う結月


「…うん」


「…今日ホントはずっとこうしたかったんだ…我慢出来なくてゴメン」


「いや、俺もしたかったし」


「…ホントは瑞希帰って来なかったら泊まって行って欲しいくらいなのに…」


「流石に瑞希さん帰ってくるまでには帰らないとね…」


「うん…仕方ないよね、じゃあ食べようか…」


「ねぇ…もう一回だけ…ダメかな…」


「…いいよ」


そう言いながら再び唇を合わせて求め合うようにキスをした。


少しして落ち着いてからアヒージョやパンを温めたりしていると


『ガチャ』


鍵の開く音と一緒に甘ったるいアニメ声が聞こえてきた


「ただいまぁ〜結月帰ったよぉー」


その声に2人でヤバいと言う顔をしながらあたふたしていると玄関から



「あれ?誰か来るの??男の人の靴あるけど??」


そう言いながら靴を脱いでいるのか中々入って来ない瑞希さんをどう言いくるめるか考えていると小さい声で


「ベランダに逃げる??」


と焦った結月が言い出すので


「瑞希さんじゃないから無理あるでしょ!!」


とその意見を却下して


「俺が適当に言うので話合わせて、あとコレからは敬語ね」


「任せる!!」


と会話を終えた所でアニメ声の妹が入ってきた。

さぁ頑張ってどう欺くか……


もうバラしてもよくないか……まぁ華帆じゃないけど、やるか、やらないかだよな、と思いながら腹を括った。


「あれーとーり来てたのぉ?? でもどうして??…あっもしかして私を襲う為に??」



「お疲れ様です瑞希さん、間違っても瑞希さんは襲わないんで安心してください。」


「えー私可愛いよぉ??」


「いや…ベランダに全裸で逃げる人は彼女にするより友達でいた方が楽しいと思うので…」


「いや黒歴史いじんないでよぉ〜我ながらアレは焦ったねぇ…じゃあ何で??」


「あースタジオ終わりに結月さんから晩ご飯どうするか悩んでるって言う連絡がきて、出張松原食堂って感じで作りにきたんですよ、ほら姉様の言う事は絶対!!なんで!」


「流石姉様!!結月あまりとーりいじめたらダメだよぉー」


「虐めてないし!!…まぁ橙李がどしてもって言うから作りに来てもらっただけだし」


「それより瑞希さん早いですよね?帰って来る前には作り終えて帰るつもりだったのに」


「今日暇だったから1時間早く帰っていいって言われたんだ!」


「そうなんですね。ならもう少し待っててもらえますか?今仕上げするんで出来たら運びます。取り皿とか用意してもらえると助かります」


「なら瑞希荷物とか置いてきなよ、私そのまま手伝いするから」


「わかったぁ!!大人しくしとくねー」


そう言い残し部屋に入っていった瑞希さんを確認して2人でため息をついて小さい声で


「焦ったぁ…今なら浮気してた瑞希さんの焦りがわかる気がする」


「確かに…てか普通気づくよね??」


「まぁ瑞希さんだし…」


「確かに…ね…最後にもう一回だけ…短くていいから」


「…わかった」


そう言いながら軽くキスをして温めたパンやカプレーゼをテーブルに並べて居ると瑞希さんが出てきた。


「あとアヒージョがもう出来るんでテーブルにいてください」


「わーとーり凄いねー、この前飲んだ時も料理ほぼとーりが作ったって聞いて皆んなビックリしてたよぉ!」


「いや中学からずっと作ってるんでコレくらいは普通ですよ?ほら出来ました。…じゃ俺は帰るんで後は2人で楽しんで下さい」


「え!?とーりも一緒に食べようよぉ、ってか泊まっていけばいいんだよ!!」


「「え!?」」


華帆ほどではないがお姫様がコチラの事情を知ってか知らずにかまたとんでもない事を言い始めてしまった。

今日を無事に終えられるのか…



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