第9話
そのとき、ウィルが動いた。
「お前の相手は俺だよ」
ウィルは、マイグに立ち向かい、そのまま無詠唱で捕縛した。騒ぎを聞きつけた騎士たちが駆けつけ、指示を出した。
「そいつを監獄に入れておけ。あと、魔法を二度とつかえぬように魔法陣をかけ」
「はい。陛下」
マイグは陛下という言葉に反応する。
「今、陛下と言ったか……」
「やぁ、マイグ、今までご苦労さん。女王は目覚めさせないように僕がなんとかするよ」
「陛下が、ウィルだと? 俺は……」
マイグはうな垂れて、監獄へと連れて行かれた。そして、ウィルは扉が開かずに困っているナリーナに声を掛ける。
「でナリーナは、どこに行くつもりかな?」
「……」
黙っているナリーナ。
「君は黒女王の魂を持っている。勝手に動かれては困る。何かあっても俺が抑え込めるように妃としてそばに置く」
「それに黒女王の私を妃に迎えるのも王としてどうかと思います」
「どうした? 急に頭の回転が速くなっているみたいだが……」
ウィルは急激なナリーナの変化に戸惑った。
「わかりました。ならこうしましょう。今からさっさと体液交換してはどうでしょう? なら私は永久に黒女王を抑えきれるのでは……」
「さきほどまでの、恥じらいはどこへ行った……?」
「なんか、マイグを刺して気分がスッキリしました」
「嘘をつけ。そう言いながらもお前の魔力は乱れておる」
そう言うと、ウィルはナリーナを強く抱きしめ、深い口づけをしていく。
「えっ……ん……」
さっきしたものより、激しく深い口づけに驚いていると、また温かい何かが流れてくる。これがさっき言って白魔力の影響なのだろうか。自分からも気付けば舌を絡めていた。
クチクチュといやらしい水音が響く。ウィルは耐えられなくなり、そのまま胸を触っていた。初めは優しく揉みながら、胸に吸い付いていく。次第に激しくドレスの上から手を入れそのまま先端を刺激する。
「あっ……ん……なんで……体液……関係ない」
「これは、俺がやりたいだけだ。付き合え」
プチと耳元で音が鳴った。
いつの間に移動したんだろう。そのままベッドへとなだれ込んだ。
「やる前に聞いてやる。さきほど何を考えた?」
「フリード王子に文句を言いに行こうかと……」
「その黒い感情が黒女王を目覚めさせると言っている」
「でも、だって……お父様を……」
堪えてきた涙が一気に滝のように溢れてくる。頭を抱えながら、冷静になったウィルは、ベッドから降りることにした。
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