第3話
マイグが何か言っているが、ナリーナには全く聞こえなかった。ナリーナはそのまま意識を手放した。
「ワハハ、さすがは女王様。もう目覚めたのですか?おかえりなさい。お待ち申し上げておりました」
10年前に、マイグは勇者に殺されてしまいそうになった女王の魂を一時的にどこかに飛ばした。だが、マイグ自身も負傷しており、本来の力を発揮できず、魂を隣国に飛ばすのが限界だった。
女王の魂を探したかったので、魔物に偵察させようと何度も隣国へと訪れていたが、結界が頑丈だったため、女王の魂の居場所が掴めぬまま、10年経ってしまっていた。
が、やっと魂を持つ者と出会えたのだった。これはマイグにとって幸運だった。
ナリーナが目覚め起き上がったと思えば、先ほどとは違った色香を纏い、マイグを愛おしそうに呼んだ。
「ふんっ、そんな堅苦しい挨拶はなしよ、マイグ」
チュッ
マイグにキスをしながら、ナリーナが腕を背中に巻きつけた。
「あー本当に帰ってらっしゃったのですね。長かった」
「本当よ。マイグがせっかく魔物を入れて目覚めさせてくれようとしてるのに、この女の父は、娘を目覚めさせないように、必死で結界を張り、我々の干渉を見事に防いでたのだから」
「そうですね。でも、女王様が無事でよかった」
「で?あの国は、どうしたの?」
「はい、魔物を3体放ちました」
「たった3体?ふざけてるの!ぶっ潰せって言ったのに!」
興奮しすぎたのか、頭がクラッとし倒れてしまう。マイグはナリーナを抱きかかえ、家へと連れ帰ることにした。まだ、魔力が不安定のようだ。女王の魔力が消えてしまった。
ナリーナは目覚めると、知らない家にいたのだった。
「えっ?私……ここは。お父様!」
父は亡くなってしまったのだと悲しみに暮れながら、小指にある指輪を見つめた。
「あなたのこれからの家ですよ」
マイグがなぜか優しく言った。その優しさに甘えてしまおう。あの国を潰すにはこの人の力がいる。
「……ありがとうございます。これから魔導師として働くのですよね?」
やはりと女王の魔力が消えたという感覚が確信へと変わった。まさかとは思うが、まだ女王としての覚醒が完璧ではなかったみたいである。
まぁ、いい。近くにさえいればいつか覚醒するだろう。覚醒するまで、この器を壊すわけにはいかない。魔導師として扱うしかないな。
「そうですね。この家を自由に使って下さい」
「ありがとうございます。何かお礼をしたいのですが、何もありません」
「なら、お前の体でいいぞ」
ナリーナは、言われたとおりにローブをバサリと脱ぎ落とし、誰にも汚されていない体を差し出した。
舌舐めずりするマイグ。本来、マイグと女王は愛し合っていた。今はこの体に魂があるようだが、いずれ完全に覚醒すれば女王の姿に戻れるはずだ。今はこの体で満足するしかない。
マイグと性行為ができるのは、マイグ以上の魔力保持者のみだ。マイグのモノを挿入すると、女性たちは死んでしまうのだ。もちろん、快楽死、別名絶頂死と呼んでいるのだが、マイグが満たされる前に出てしまうものが起爆剤になり、絶頂を迎えその相手は死ぬのだ。
マイグ以上の魔力持ちなど、女王とあの忌々しい勇者ただ1人だけである。この娘は魔力的にはマイグ同等のようだが、女王の魂があるなら抱いても潰れやしない。ましてや、抱くことで女王が覚醒されるかもしれない。試してみる価値はある。それに、若くて、小ぶりな胸、まだ未開発な者を開発させるのは楽しい。今は目の前にある女を抱くだけである。マイグはそのまま導かれるようにその体を抱き寄せた。
「いいのだな?俺は一度抱けばなかなか手放すことは無理だぞ?痛がろうとも気にせず抱くぞ」
「えぇ、あなたに抱かれるのが本望な気がします」
本音は怖がっているにもかかわらず、かわいいことを言いやがる。うるうるさせた目が妙に色っぽく、そのまま唇に貪りついた。
「ん……これって……食べられているのでは?」
「ハハハ、深い大人な口づけはこうするのだよ。ナリーナ、さぁ、口を開けてごらん」
大きく口を開けるナリーナ。
「そんなに開けなくていいのだが……まぁいい」
そのままナリーナの口にマイグの舌を入れ丁寧に口内を犯していく。
「ふぇ……気持ちわるぃ……」
泣き出してしまうナリーナに、興ざめしたマイグは怒りのあまり、ナリーナの舌を噛んだ。ナリーナの口から血が垂れた。
「なぜ、俺の体液媚薬がお前には効かぬ?やはりお前は何者なんだ?」
「ふぇん……ふぇん」
泣いているため、全く話を聞いていいない。このまま無理やり抱いてもよかったがなぜかできない。ナリーナの涙には弱いようだ。それとも、この涙自体に魔力があるというのか?
その涙を舐めとると、少し魔力の味がした。そうか。これのせいで、抱くことができなかったのか。なぜか理由がはっきりして安心するマイグ。これからいくらだってチャンスはある。焦る必要はない。
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