第2話
男性が、気持ち悪い笑みを浮かべながら言った。
「ハハハ、やっと見つけましたよ」
「えっ、どうして?」
「あなたはお判りでしょうよ」
その男性がそう言うと、なぜか無詠唱にもかかわらずナリーナが使用した魔法が強制的に解除され、自分たちの姿が見えるようになってしまう。
「あなたは誰なの?」
「初めまして。僕は王宮魔導師のマイグと申します。ぜひ魔導師として働いてほしい。こちらに来たばかりですよね?職も衣食住全て用意します」
「えっ?本当?」
ナリーナは喜んで受けようとしたが、父は頑なに拒んだ。
「ダメだ……ナリーナ……ソイツは……」
言いかけて、父様は口から血を吐き倒れた。
「お父様大丈夫ですか」
「ナリーナ……ソイツはだめだ」
そのまま体をピクリとも動かなくなった。どうしたの。いったい。ナリーナは混乱する。
「かわいそうなお嬢さん、お父上は国を出た時に忠誠を王に誓っていたために、国から出た時点で呪いにかかり死んだのだよ」
「なんでよ!追放したのは陛下なのよ。わかっていて追放したってこと?」
「君の国は、ひどいなぁ。その点ペルス国は国民みんなに優しいよ」
ナリーナは泣いた。そして、父を殺した母国に復讐することを誓った。ナリーナの中で何かが弾ける音がした。
「ねぇ、ところであなた何者?」
「だから、王宮魔導師だって申し上げたではないですか」
「父様がダメだって言った時、わずかにだけど、魔物への攻撃魔力を感じたの。だからあなたは魔導師ではない。人間の振りができる魔物?」
「ハハハ、お嬢様は案外賢かったわけだ。なら君が僕に協力するって誓うなら本当の正体を教えてやろう」
「わかったわ。協力するわ。ただし、今からあの国ぶっ潰してくれたらね」
手を叩きながら喜ぶマイグを見ながら、自分がなぜそのようなおぞましい言葉が出たのが解らず、慌てて口を抑えるナリーナ。
「やぁ、君は思った以上に残虐なお嬢様だったんだね。それとも目覚めちゃったのかな?」
「ねぇ?話していないでどうするか答えなさいよ」
「はいはい、お嬢様少々お待ちくださいね」
マイグは、スッと消えた。自分の乱暴は話し方に違和感を持ちつつ、死んでしまった父様の耳元であの魔法は使わないと誓い、成仏させるために囁いた。
「ナハラマナダ」
父様の亡骸は光の粒子になり、その粒を1つだけつかみ取り、指輪に変化させ、小指に身につけた。
マイグが戻ってきた。
「やはり、あなたの父上は立派だった証拠ですね。結界は穴だらけでしたよ」
「当たり前でしょ?いつも皆が帰った後にもう一度その穴を埋めに行ってたんだから」
「そうでしたか、小癪な人だったんですね」
「で、あなたはその父にいつも弾き飛ばされてた魔物ってことね」
「ワハハ。アイツら雑魚と同じにしないで欲しいですね」
「なら何?私の奴隷?」
そう言った瞬間に、頭がズキリと痛み、頭痛が起きた。
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