第8話 冒険者、変異する

コボルド達の実験場での戦闘後、その場にて一夜を明かすこととした一行。

焚き火の傍でダナがヴィーノを治療する。盾神の祝福があったのか、大けがは一瞬にして治癒した。

アラーイスは変異した牧羊犬、カールと遊んでいたが、カールが眠ってしまうと焚き火の傍に戻ってきた。


GM:(わあ、きっとここで、お互いの距離を縮めるパーティー会話が繰り広げられるんだろうな。どうして冒険者になったの、とか、そういう話。わくわく、どきどき)

ヴィーノ:「よしっ。アラーイスは寝ないことだし、我々は寝よう」

ダナ:「そうですね」

ヴィーノ:「交代で見張りを立てる必要がない!」

GM:(一瞬で寝ちゃうのか~い! まあでも、冷静に考えてみたらめちゃくちゃ疲れている状況だもんな。夜更かししてお喋りしている余裕、ないよね)

GM(コボルド):(檻の中から)「俺らも寝ていいっスかね……?」

ヴィーノ:「まあ、寝るのは自由だな」

ダナ:「檻の中で」

GM(コボルド):「でも狭いし、腹減ったし……。な、なんもしないんで、出してくれたり?」(哀れっぽい声)

ヴィーノ:(おやすみ体勢になりながら)「檻の中にいれば、安全だぞ」

アラーイス:「暇だから、僕と喋ろうよ」

GM(コボルド):「あっ、そうだ! なんなら料理しますよ? 俺ら、料理上手なんですぜ」

ヴィーノ:「もう保存食食べたから要らない」すやぁ。

GM(コボルド):しょんぼり。眉がハの字になってる。(眉毛犬?)


ダナとヴィーノが寝てしまった後。


アラーイス:実はここに来たときから、ずっと小屋が気になって、そわそわしてるんだ。花がパカパカ開いて。

GM:そうなの? アラーイスが小屋に向かおうとすると、檻の中のコボルドが気づいて「そっち、俺らが休むのに使ってた小屋なんで。別になんもないっスよ」と言うよ。

アラーイス:うーん。「でも見てみたい」

GM:了解です。では小屋の前。鍵は掛かってないみたいです。

アラーイス:わくわく。開けてみる。

GM:中は乱雑に武器や道具類が置かれていたり、毛だらけの毛布が床に落ちていたり、食料がテーブルに載っていたりします。物置っぽい印象ですね。あと犬臭い。

アラーイス:「食べられるものかな?」つんつん。

GM:食材です。野菜とか肉とか。何の肉かは分からないけれど。(そうだなぁ……)それから小屋の片隅にキノコが生えてる。

アラーイス:キノコ? 近づいて良く見てみたい。

GM:こう、木ぎれの上に白くて丸いキノコがぽんぽんぽん、と。森の奥に自生する、食べられるやつですね。

アラーイス:何てキノコ?

GM:(うっ……、ええと)ニコニ茸。(今考えた)

アラーイス:「わあ、ニコニ茸だ。懐かしいな。家でもおかあさんが色んなキノコを栽培してたっけ。僕の病気に効くって聞きつけては数が増えて……」

GM:(ダイスで決まった経歴によると)アラーイスは家族の愛情をたっぷり受けて育った子なんですよね。

アラーイス:うん。その代わり、友達はいなかったけれど。……今も、いない、けど。

GM:(ホロリ……)

アラーイス:キノコを持っていって、焚き火で焼いて食べたい。

GM:了解です。焼いていると檻の中からコボルド達が欲しがるかも。「あー! 俺らの大事なおやつが!!」

アラーイス:しょうがない。「他のみんなには内緒だよ」って、分けてあげる。

GM(コボルド):「元々俺らのですぜ!?」と言いつつも、ちょっと感謝して食べる。


やがて、アラーイスにとっては長く、他の二人にとってはあっという間の夜が明けた。


GM:さて、どちらに行きますか?

ヴィーノ:湖には城があるだろ。北北東の塔って何なんだ? コボルドに聞いてみる。

GM(コボルド):檻が狭くてあんまりよく眠れなかったため、げっそりしてる。「塔……? ああ、アレっスか。魔神王様が粉を取ってくるとこ?」

ヴィーノ:強くなる粉か。

GM(コボルド):「そんなことより、アンタたちも俺らの仲間になっちゃえば良いじゃないっスか!」

ダナ:「その選択肢は、残念ながらありません」

GM(コボルド):「コボルド魔神王様と共に、世界を征服しましょうや! 働き次第で、名誉蛮族になれますぜ?」

ヴィーノ・ダナ:「それはちょっと……」

アラーイス:「僕は魔神王になりたいんじゃなくて、立派な冒険者になりたいんだよー」

GM(コボルド):「冒険者より魔神王の方が、格好いいッスよ!」

アラーイス:「え? ホントにそう思ってる?」

GM(コボルド):「思ってます」きっぱり。

ヴィーノ:名前がなぁ……微妙。

GM(コボルド):「『魔神王に俺はなる!』って、よく言うじゃないッスか」

ヴィーノ:「誰がだ?」(笑)

ダナ:「聞いたことないです」(笑)

ヴィーノ:でもちょっと待てよ……。「あの怪しい力を手に入れたら、オレは……」(ぶつぶつ)

アラーイス:「とりあえず行こうよ。じゃあ、コボルドさんたちも、がんばってね~」

GM(コボルド):鉄格子にしがみついて「えっ!? そう言うなら檻から出していきましょうやー!」「俺たちも腹減ってるんスけど」

ヴィーノ:「それはちょっと、まあ、ない」

GM(コボルド):「えーーーーっ……」(自前で声のフェードアウト)

GM:んで、どっちに行きます?

ヴィーノ:魔神王とか、めちゃくちゃヤバそうなんだが。

ダナ:コアはどこにあるんだろう。コアさえ壊せれば、魔神王は放っておいても。


しばし、一行はどこに行くかを迷って話し合う。その結果……


アラーイス:変身するの、ちょっと興味ある。「わくわくするね。ちょっと行ってみたい」

ヴィーノ:「塔に行ってみるか」

GM:謎の建造物の方に行くのですね。(ごそごそ。荒野の背景とフロア。そこに巨大な岩の塊と、そこから降り注ぐキラキラした粉のオブジェクトを置く)

ヴィーノ:でかっ! でかすぎるだろ。塔っていうか、近づいてみたら岩の塊だな!?

GM:です。遠くから塔のように見えたものは、近づいてみたところ、高さ100mくらいある巨大な岩塊でした。その途中の、高さ80mくらいの場所にある岩の割れ目から、キラキラした粉が流れ出しています。

アラーイス:調べてみたい。

GM:見識判定をするなら、目標値は11です。やるなら粉を浴びそうですが。

アラーイス:もともと興味があったから、進んで被りに行ってしまう。見識判定は13で成功。

ヴィーノ:魔神アラーイスになるやつ?

GM:そうしたら、魔神の世界に由来する物質ではないか、と見当がつきます。それ以上のことは長い時間を掛けて研究しなくては分からないでしょう。

アラーイス:「わー、キラキラだ!」今、どんどん粉を吸収してる。

ヴィーノ:アラーイスを引っ張り出してる。

GM:ではおまちかねの変異表です。えいっ。結果は、「言語理解上昇」でした。あらゆる言語が分かるようになりました。

ダナ:すごーい!

アラーイス:これ、元の世界に戻っても便利なだけだね。

GM:少しの間だけですがね。アラーイスを助け出そうとしてヴィーノも被ったのかな。ヴィーノの結果は、「双頭」。戦闘特技「両手利き」を獲得。人間だから、利き腕がもう一本生えたことにしましょう。

ヴィーノ:武器を一つしか持っていないから、あんまり意味がない。「コボルドの武器でも奪ってくれば良かったな」

アラーイス:「巨大化するヴィーが見たかったのになぁ」

ヴィーノ:待って!(笑)

GM:あー、確かに、巨大化もあるもんね。もっと被ってみます?

ヴィーノ:やめとく! いやでも、……毛皮の鋼鉄化が気になる。これ人間の場合は髪の毛が鋼鉄になるの?

GM:皮膚が硬くなるってことで。

ヴィーノ:なるほどね。「被ろう……かな……」(悩)

アラーイス:「折角だし、ダナちゃんも被ってみたら? 大きくなれるかも知れないよ」

ダナ:「べ、別に、大きくなりたいとか、思っていません」

ヴィーノ:(合計三本になってしまった自分の腕を見おろしてしばし悩んでいたが)「ここは一つ、人としての姿を捨ててでも、もう一回被ってみるか!」

ダナ:「凄い覚悟です……!」ダナはちょっと、魔神や魔界の品への嫌悪感が勝って、被る気になれないです。

GM:盾神の神官ですもんね。

ヴィーノ:防護点が欲しい。頼む……!

GM:変異ガチャですね(笑)。(ころりん)

ヴィーノ:おっ! キタ!!

GM:欲しかった「毛皮の鋼鉄化」が来ましたね。おめでとう。防護点が1点増加です。

ヴィーノ:というわけで。「オレが人間じゃなくなったら、後はよろしく」

アラーイス:「えっ。でも、人間じゃなくなっても、友達だよ!」

ダナ:「うん、そうそう」

ヴィーノ:(友達発言はスルーして)「というか、二人は元から人間じゃなかったな」

ダナ:「人間じゃなくなっても、ヴィーノは恩人ですよ」

GM:恩ほにゃらら


身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。

コボルド曰く「皆さんじゃ絶対勝てない」魔神王に対抗するため、敢えて魔神の力を身に宿すアラーイスとヴィーノ。

果たして、三人+一匹で、無事にシャロウアビスから帰還することは叶うのか?

いよいよ次回、魔神王の待つ城へと乗り込む――っ!!

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