第2話 冒険者、侵入する
一行がクリスと共に森の外れにやってくると、確かに彼の言うとおり、直径3m程の黒い球体が浮いている。
これが大陸北部にある異界への穴・
ヴィーノ:「あそこから犬が出てきて、犬が入って行った?」
GM(クリス):「そう。中にカールが吸い込まれちゃったんだよ」
ダナ:「この大きさだと、出来てまだそれほど時間は経っていなそうですね」
GM:そのようです。シャロウアビスは放置するとどんどん大きくなり、より強力な魔神を喚び出すようになります。影響力も拡大し、周囲への被害も比例していくでしょう。
アラーイス:「厳しいね」
ダナ:「早めに対処したいですね」
アラーイス:「みんな、準備は良いのか?」
ヴィーノ:「入ろう」
アラーイス:クリスも一緒に入るの?
ヴィーノ:いや! 外で待ってて!「犬を連れて帰ってくれば良いんだな?」
アラーイス:「でも、犬ってどんな犬?」
ヴィーノ:牧羊犬。
ダナ:牧羊犬にも色々いるんです。
アラーイス:違う犬を持って帰ってくるかも知れないし。
ヴィーノ:敵のね(笑)。
アラーイス:犬のように見える何かかも……(怖)。
ヴィーノ:(中から出てきたのは)翼が生えているのと、頭が二つあるのって言ってたから、それは流石に見間違えない。
アラーイス:分からないよ。カールも変身してるかも知れない。
ヴィーノ:「カールって、ちなみに聞くけど頭二つある?」
GM(クリス):慌てて「カールの頭は一つだよ!」
ヴィーノ:(突然のナレーション口調)それは本当に、犬だったのでしょうか……
GM:(用意しておいたイラストを画面に表示させる)こんな感じ。ボーダーコリーですね。
ヴィーノ:どれどれ……。あー、可愛い!
GM:クリスの説明を再現して、みんなの頭の中に浮かんだイマジナリー・カールです(笑)。それで、クリスはカールがみんなを味方だと認識できるように、ハンカチを貸してくれます。誰が持ちますか?
ダナ:では、私が。
準備の出来た一行は、意を決してシャロウアビスに飛び込んでいく―――!
GM:気がつくと皆さんは、草原のただ中に立っています。外から見るより遙かに大きな空間ですね。今は北を向いている状態ですが、正面の離れた場所には湖が、西には森が見えます。東の方はここよりも草がまばらになっているようです。(意味ありげに、画面の隅に小さなコインが一つ置かれている)
ダナ:南は……?
GM:南はないです。空間が途切れています。
ダナ:見通しはいい?
GM:はい。特に遮るものはなく、説明した景色が見えています。足元の地面が見えている場所に、犬の足跡のような凹みがあります。「スカウト/レンジャー観察判定パッケージ」で足跡追跡判定を行って下さい。目標値は10です。
ヴィーノ:とりゃー。10。ギリじゃん!
GM:成功です。足跡が東西それぞれに向かっていることが分かります。どちらも大型犬のもののようです。西に向かう方は、二匹分の重量があるように深く地面にめり込んでいます。東に向かう足跡の周囲には点々と、黒い液体が零れています。
ヴィーノ:その液体に関しては判別がつかない?
GM:そこまでは分かりませんでした。
ヴィーノ:「二匹分ってことは、カールが抱え上げられて連れて行かれたのか、負傷した仲間を運んだのか」
アラーイス:「噛みくわえられて連れて行かれたんじゃない?」
ダナ:「どちらに行きましょうか」
アラーイス:黒い液体の正体について、セージ技能で振れない?
GM:この場合、見識判定になるのかな……? (魔犬の血だし、見ているだけだから……、難易度は高めでいいか)目標値は15で。
アラーイス:無理じゃね? あ、凄く悪かった。8。
GM:さっぱり分かりませんでした。
アラーイス:「黒いペンキだな」頭の花が、明後日の方を向いてる。
一同:(笑)
ヴィーノ:状況を確認しよう。
ダナ:「目的はカールを探すことと、
アラーイス:「じゃあ、足跡が重たそうな方に行こう?」(西に向かって、勝手に歩き始める)
ヴィーノ:「待って!」(笑)
アラーイス:(首根っこ掴まれ)「なんで? どっちか分からないんだから、どっちでもいいんじゃない?」
ヴィーノ:「どっちか分からないから、一匹の方から行った方が良くね?」
アラーイス:「ダナちゃんはどっち行きたいとか、ないの?」
ダナ:う~ん……。「ないです」
アラーイス:「ないって。じゃあ、黒いペンキの方に行こう~」(引き返して、東へ勝手にすたすた)
ヴィーノ・ダナ:自由すぎる(笑)。
アラーイス:「時間が経つと敵が強くなるかも知れないし」頭に一瞬、黒い睡蓮が咲きます。
GM:(あー。そのパターン、良くありますな)
ダナ:「では私たちも東に向かいましょう」
GM:(いそいそとモンスターコマを並べていく)
ヴィーノ:ああ! なんか出てきちゃった。いっぱい来たけど!
アラーイス:(ヴィーノ(のコマ)をずいずいと前線に押し出している)
ヴィーノ:「や、やめろー! 押すな! オレをいきなり前線に立たせるな!」
GM:翼の生えた犬のようなモンスターが、空から襲いかかってきます。全部で3体。
ヴィーノ:(アラーイスに)「お前が一番HP高いんだから、お前が前線に出ろー! つかこんなにいるとか、聞いてねぇぞ、クリスー!」
アラーイス:「僕は武器を持ってないから」(まだ押してる)
ダナ:「全部が外に出たわけではないのでは。ほら、遊んでいると怪我をしますよ」
いよいよ新米冒険者、初めての戦闘へ――!
果たしてどうする? どうなる?
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