第11話 自宅に引きこもってみた
いたたた、傷がなかなか治らないよ。
あ、どうも。先日、聖光で焼かれて死にかけた、吸血姫のマイです。
いや、うん、半端なかったね、聖光。あと数秒、あの場にいたら骨まで焼かれてたかもしれない。だって腕、骨が露出してたもんね。【影渡り】がなかったら絶対に助からなかった。
出会った獣の血を片っ端から吸わせてもらったけれどマナの最大値が回復しない。そう、最大値が。
あと痛みもひどい。狩りの途中、うっかり鹿の角に刺された時は、さほど痛みなんてなかったんだけど、やはり苦手な魔法は痛みがあるらしい。
ケロイド状になった手足の皮膚がつっぱり、満足に動くこともできないので、今は傷を癒すことに専念するしかない。なので自宅でゴロゴロして、たまに獣を狩るくらいにしてる。
どれだけ血を吸っても余剰魔力漏出がないので、マナになるはずのエネルギーは肉体の回復に使われているんだと思う。
……ああ、そうだ。この余剰魔力漏出がなんなのか、少し前にようやくわかった。
マナが全快の時に血を吸っても、一時的に上限を越えてプールされるだけで、上限が増えるわけじゃない。使わないとやがて消えてしまう。具体的にどうなるかっていうと……私の体液に溶け込んで体外に排出されるのだ。
いやあ、まさかあんな形で出ちゃうとはなあ……、初めて漏出した時の衝撃といったらなかったわ。
え? どうやって出たのかって? 訊くな、言わせるな、頼むから。察してくれ、いや本当カンベンして。
ちなみに、その体液は一応保管している。いや、マナが濃縮されて溶け込んでいるんで、ぶっちゃけマジックポーションの材料になるんじゃないかなあ、と。決してやましい目的で保管しているわけではない。断じてないっ。ないったらないっ。
あ、ちなみに今のステータスはこんな感じ(強引な話題変更)。
【名前】マイ
【種族】吸血姫 (嗜好:??)
【年齢】十一歳
【職業】────
生命力:─/─
マナ :120/120 (350) up!
筋力:56
頑健:57
器用:60
敏捷:100 up!
知力:101
精神:140 up!
魔力:221 up!
魅力:53
運 :50
【種族特性】
弱点:日光
魔属性
魔力の肉体
余剰魔力漏出
【種族スキル】
暗視
影渡り
嗅覚強化
吸血
吸精
霧化
血液操作
再生
血の契約
魅了
闇の翼
【スキル】
隠密:Lv3
解体:Lv2
気配消し:Lv3
採取:Lv2
裁縫:Lv1
追跡:Lv4
魔力隠蔽:LV1 new!
魔法の才能:Lv8
魔力回路:Lv10
魔力感知:Lv2 up!
料理:Lv2
火魔法:Lv0
水魔法:Lv0
氷魔法:Lv0
風魔法:Lv0
雷魔法:Lv0
土魔法:Lv0
闇魔法:Lv3
光魔法:Lv0
精神魔法:Lv0
火魔法耐性:Lv3
水魔法耐性:Lv9
氷魔法耐性:Lv7
風魔法耐性:Lv9
雷魔法耐性:Lv5
土魔法耐性:LV9
闇魔法無効
光魔法耐性:Lv4 up!
聖魔法耐性:LV1 new!
精神魔法無効
毒無効
呪い無効
【称号】
転生者
真祖の血族
【EXスキル】
オートマッピング
解析
加速・減速:Lv1
クリエイトイメージ
索敵
自動翻訳
スキャン
前世の記憶
全属性適性
全抵抗力上昇
操髪
マイホーム
【光魔法耐性】が上がって、新たに【聖魔法耐性】を得た。EXスキルで全属性抵抗上昇があったけど、聖属性への抵抗は考えられてなかったらしい。まあ、普通はそうか……。
聖光に焼かれた甲斐はあった……のかなあ。
あと、魔力がダダ漏れなのはマズイので、なんとか魔力の放出を抑えられないかと頑張ってみた。【魔力回路】というスキルが体内の魔力の流れを効率化するスキルのようだったので、そのスキルを意識して、ひたすら魔力を抑え込むようなイメージトレーニングをしていたら【魔力隠蔽】を取得できた。あとはこのスキルを成長させていけば、いきなり攻撃されることはなくなる……と思う。いや、願う。
え? 自宅ってどういうことだって? ああ、うん、EXスキル【マイホーム】のことなんだよ。
このスキル、使うと半透明なドアが出現する。そのドアをなんでも────大木でも、岩壁でも────いいので、壁面に設置すると実体化する。ドアを開けるとそこには……なにもない。ただ、だだっ広い空間が広がっているだけ。どうやら好きに間取りを作れってことらしかった。
私、大工仕事なんてできないぞ、と思ったけれど、ありがたいことに某箱庭ゲームみたく、材料さえあれば自由に壁やら天井を設置できるのだった。ゲーム同様、荷重限界は無視できるのがありがたい。簡単でいいね!
じゃあ、その材料はどうするのかってことだけど、そこはEXスキルの【スキャン】、【解析】、【クリエイトイメージ】のコンボで強引に。
【クリエイトイメージ】は、材料さえあれば自分のイメージした物が作れる。ただ、対象をちゃんと指定しないと大変なことになる。最初、木を木材にしようとイメージしたら、自分を中心に十数メートルの範囲の木が一斉に消え、目の前に木材が山になって目が点になった。効果範囲内の物を無差別に加工してしまうらしい。しかも範囲が広すぎてマナが尽きるところだった。なんて危険なスキルだ。
【スキャン】は指定した範囲、物体を透視する。分厚い岩壁や地面の奥までよく見える。そこに【解析】を併用すると、スキャン内の物体の詳細が表示される。これを使えば鉄分を含んだ石や砂鉄を見つけられる。あとは【クリエイトイメージ】で鉄のインゴットを作ればいい。
なので素材には困らなかった。まあ、お陰で山の一部を更地にしてしまったので逃げたけどね。調査に来られたら困る。
いくらか遠くまで逃げて、再び【マイホーム】を設置した。ドアを開けると玄関があり、そこで靴を脱ぐようになっている。ほら、やっぱり日本人だし。まあ、今は靴すらないんだけどね。
間取り……というほど部屋はない。玄関入って正面に広めの部屋。玄関すぐ右側に倉庫を作ったくらいだ。
ちなみにこの【マイホーム】、中に人がいない時は時間が止まるようになっている。さらに、ドアで区切れば人がいない部屋は時間が止まる。なので、倉庫には余った木材や鉄材の他に、血抜きをした獣がいっぱい入っている。いずれ料理して食べたい。血でお腹は膨れるけど、物足りないもんね。
あー、でもそうなると調味料が欲しくなるなあ。岩塩とか見つからないかな。というか、海が近くにないかなあ。もし海に行けたら、魚介類を捕まえて保管しておきたい。【マイルーム】内なら鮮度も落ちないし。
いや、いっそ生簀でも作って……。
とまあ、回復を待つだけって辛いので、どうでもいいことを考えて過ごすしかなかった。
どうでもいいこと、じゃないけど、アンシャルさんはあの二人をちゃんと罰してくれるんだろうか。この手で恨みを晴らしたかった……という気持ちもあるけど、意外にも逃がしたという焦りはあまり感じなかった。諦めてる? う~ん、わからないなあ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます