止まらないもの、それが妄想
やった! と思ったのに、現実にはひどい結果が出るというのは良くある話だ。近所の神社にお百度参りしたら、妄想を勝手に現実化してしまう力を得た僕が、まさにその典型だ。
この力を得る前、僕は授業中に様々な妄想をしていた。
クラスのアイドルが彼女になる妄想、窓の外から見えるビルを忍者が駆け巡っている妄想、朝起きたら突然イケメンになっている妄想。
しかし、実際にその妄想が現実になると、これは大変だ。
クラスのアイドルが彼女になったら、それはある意味で洗脳だ。彼女の人生を狂わせてしまう。窓の外を忍者が駆け巡っていたら、気が散って仕方がない。朝起きてイケメンになっていたら、自分の親から不審者扱いされて通報されるだろう。
だからこの力を得たせいで、気を抜くと妄想してしまうクセを僕は必死に治す羽目になってしまった。
だが、そうは言っても止まらないもの。それが妄想であり、妄想する生き物こそ男子高校生である。
そう、どうしても、あの妄想だけは止まらない。
現在、この学校は二日に一回はテロリストに占拠されるようになっており、それが僕のせいであることは、口が裂けても誰にもいえないのである。 (了)
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