第31話 衝撃な出会い
「クルフル、ここで合ってるんだよね?」
シャンスの問いにゆっくりとクルフルは頷く。
「合っているはず。終点だから」
「ポンポタって街なんだよね?」
またもやシャンスの質問にそうだとクルフルは頷いた。
「ただし、ダンジョンがあると村でも街に昇格するらしい。でも大抵は、サーチャーが集まって来てちゃんと街になるらしいけど」
「村のまんまだね……」
シャンスがそう言うと、今度はクルフルとメレーフが頷く。
三人が思っていたのとは全然違ったのだ。
大きな山をバックに長閑な畑が広がっている。整備されているのは、ダンジョンに行く建物ぐらいだ。
一番大きな建物はサーチャーギルドのようだが、サーチャーの姿はない。
「間違えたって事はないか。看板あるし……」
「とりあえず行ってみようよ。私たちの目的はダンジョンじゃないんだし」
メレーフに言われてそれもそうだと、三人はサーチャーギルドに入った。
ここでもまた驚く三人。閑散としているとはこの事だ。
「誰もいないってあり?」
シャンスが問う。
サーチャーどころか受付に誰もいない。
「うお。ここにサーチャーが来るとは」
入ってすぐの所に立っていた三人は、後ろからの声に驚き凄い早さで振り向いた。
「……村人?」
「きっとサーチャーが来ないから村人がやっているんだよ」
クルフルが言うとメレーフが自分のセリフに頷きながら言う。
シャンスはというと、現れた人物を凝視していた。
見たことがある人物――いや、知っている人に凄く似ていた。
「シャン、どうした?」
村人を見つめて固まっているシャンスにクルフルが問う。
「シャン……? って髪が違うか」
村人もシャンスを見て一瞬驚いた顔を見せるもため息をつく。
”やっぱりそうだ。ギルドマスターのナッツさんだ! どうしてここに?”
「おい? どうしたんだよ」
「え? あ、いや……えっとギルドマスターに似てるなぁって」
「どこの?」
「一応ここのギルドマスターだけど?」
「「「え!」」」
どうみても村人にしか見えない彼は、ここのギルドマスターだった。
「ついでに数日前に着任した。移動って事だけど降格さ。君が言うように数日前までシュジツル街のサーチャーギルドマスターだったさ。あははは、なんだろうな。なんでこんな事話したかな? 君があの子に似ているからかな」
「……もしかてそれって、いなくなった少年のせい?」
青ざめてシャンスが聞く。急にそんな事になる原因はそんなに多くないだろう。
「いや違うよ。その少年を殺して俺に擦り付けたツインレッドだ!」
「ツインレッド!? どういう事? 一体何があったんですか?」
「すまない。君には関係ない事だった」
そういうとナッツはギルドの奥へと行こうとする。
「待って! ごめんなさい。こんな事になるなんて思わなくて、僕、シャンスです!」
シャンスの驚くセリフにナッツはバッと振り向き、今度はナッツがシャンスを凝視した。
「い、生きていたのか? き、奇跡だ。髪はどうした?」
「えーと、あの二人にばれない様に染めました……」
ガシッと両腕を掴まれたシャンスがそう答えると、ナッツは安堵の顔を浮かべる。
「本当によかった……」
感動の再会? をクルフルとメレーフは、唖然として見つめていた。
◇
「そうか。そういう事だったのか」
シャンスは、三人にツインレッドにされた事を話し、ギルドで誤解されてしまった事も話した。
「今話した話をギルドにしてみます。そうすればきっと……」
「それはダメだ!」
「え? なんで?」
「それはギルドが、俺の話を全く信用しなかった。いやツインレッドの二人の話を信じたからだ」
「え~!!」
まさかの話にシャンスは驚きを隠せない。
ギルドマスターの話より悪名高いツインレッドの話を信じたのだ。あり得なかった。
「ど、どうしてそんな事に……」
「わからんが何かカラクリがあるのだろうな」
「何も反抗しないでここに来たのかよ」
話を聞いていたクルフルがナッツに聞くと、そうだとナッツは頷く。
「俺は、シャンスが殺されたと思っていた。その責任を取ったつもりだったんだ。それに俺の言う事よりあいつらの言う事を信じた事に幻滅していた。けどよく考えれば変だ。俺もそういう事があった。それもなぜそれを信じたか、わからない。そういう話を他にも聞いた」
「変よね。悪い奴が言った話を信じるなんて。何か魔法にでもかかったのかしら?」
四人はそれしか考えられないと頷く。
「まあアイテムを手にいれたんだろうけどな。ただ俺が彼らの話を信じてしまったのは、君を二人が連れ出してすぐの時だからなぁ」
「あ! だったら新しいダンジョンのボスの宝箱からかも。僕が行った時には、宝箱は空だったから」
「そういう事か。でもそのアイテムを使っていると言う実証がないとな」
「ねえその二人の噂話聞くけど、なんでまだサーチャーを続けているの?」
メレーフの質問に、シャンスとクルフルも謎だと頷く。
「現場を押さえてないからだ。全員がそう言ったとしても現場を押さえなければ、どうにもできない。今回、君が生きていたとしても俺との結託という事になるだろう。けど、一つだけ方法はありそうだけどな」
「「「それって!?」」」
ナッツのセリフに三人は身を乗り出す。いつの間にか、ポンポタ街に来た目的を忘れている三人だった。
呪縛アイテムも何のその。ドロップは宝の山でした すみ 小桜 @sumitan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。呪縛アイテムも何のその。ドロップは宝の山でしたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます