進歩しない友人

特に意味もなく暇つぶしでしている小説の先生だが、友人が全く進歩しないために私はなかなか次のステップに移れない。最初は私の教え方がわかりづらいのかと思い、試行錯誤を続けていたが、途中で明らかに私の教え方と違う方法で書いていることに気付いた。そんなことをなぜしたのかと聞くと、

「俺は俺のやり方でやる!」という馬鹿みたいな返事が来た。

「それが駄目だと言っているんだよ」

´「でも俺は俺のやり方があるし...」

「小説家になりたいの?なりたくないの?」

「そりゃなりたいけど...」

「じゃああの馬鹿みたいな書き方二度とすんなよ」「はーい...」

やっと次に移れる。まったく、何がしたいんだか...。本当になりたいのか怪しいレベル。

「それじゃ次、句読点の付け方。明らかに付けすぎ」

「つけたほうが読みやすいって言うじゃん」

「何事もやりすぎは良くないってこと。この文章、点の付けすぎ。別のセリフやら場面の切り替わりでは丸を付けろ」

「変わらんでしょ」

彼はぶつくさ言いながら直し、あまり変わってないという顔をしているが、他の人からしたらだいぶよくなっている。だがこういうのは本人はあまり成果を感じないものらしい。直した原稿を見ると、最初に比べて「何言ってるかわからん」が「言いたい事はわからんでもない」ぐらいにはマシになった(と思う)。一度、今までのことを覚えているか好きに書かせて見て、今現在の彼の能力を知ろうと思っていたのだが、私が見たのは今までのことを全て忘れたかのような、最初の頃と何も変わらない見るに堪えない文章だった。少しは進歩したかなーという私の期待を裏切るどころかぶっ壊すようなとんでもない文章を見せられて固まっている私に、彼がアホ面ぶら下げて

「どう?良くなったでしょ?」

と言い、ワクワクした目を向けてきたが私は「やり直し」

とバッサリ切り捨てると彼は、

「そこをなんとか」

とすがって来て、私が

「断固として拒否!なんにも進歩してないじゃん!」

と言い返すと彼は落ち込み、また書き出した。


続く

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