小説の先生
海鮮かまぼこ
だから私は小説家の先生になった
休日のある日、私は早朝から近所に住む友人に呼ばれて彼の家に行った。のんびりくつろいでだべっているといきなり友人は立ち上がって、
「俺は小説家になるぞおぉぉ!」と叫んだ。しかし突然叫ぶのはいつものことなので特に気にせずお茶を啜っていると、そんな私の態度が気に食わなかったのか、彼はもう一度
「俺は小説家になるぞおぉぉ!」と叫んだ。「ふーん、すごいね」と流すと、応援されたと思ったのか彼は意気揚々と原稿用紙を持ってきて、私の目の前に突き出した。
「これをカ〇ヨムっていうサイトに投稿するんだ!でもちょっと不安だから今日呼んだんだよ」写メ撮って送れよ…と思いながら原稿を見ると、得体の知れない文が書かれていた。一通り目を通して返すと、彼は上機嫌で
「異世界系の話なんだけど、どう?いいもんでしょ?」と言った。
「悪いことは言わない、諦めたほうがいい」私がそう返すと、彼は首をかしげて理解ができないといった顔をした。私は呆れながら彼に復唱させると、
「火属性魔法、展開!ドカーン、ゴロゴロ、ズガガガバキバキドーンふっ、口程にも、ない、俺の敵では、ないな、グワーッ、ふん、まだ、生き残りが、いたのかしぶとい水属性魔法、食らいなさい!ザバーンビシャビシャ、ドッパーン!グワーッ、やられたー。ふん、あの世で、後海しろ。す、すみませんでしたー、これからは、真面目に、生きます。」
「自分で読んでみてどう?」
「なんか駄目?」
「ほとんど駄目だけどまずは、いきなり魔法撃ってるけど今どこで誰にどういう状況で魔法撃ってるのかを説明して。あと細かいようだけどゴロゴロって雷じゃない?これ火属性魔法なんでしょ?」
「説明とかしなくてもみんなわかるでしょ」
「みんなをお前と一緒にするな。大半の人は分からない。というかこんな稚拙な文を書くやつを分かりたくない」
「え〜...言われてみると。あ、そうだ。小説の先生になってよ。めっちゃ詳しいじゃん」
「いいけど、ただの一般人の意見だよ」
「それでいいんだよ、ありがとう」そして指導を始めて数時間たっても全く進歩が見られず、長期休暇を利用して指導することにした。
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