第3話 未来改変《フューチャーチェンジ》

 第3話 未来改変



 西暦2020年7月14日13時00分。


「『危機廻避リスクヘッジ』はそのまんまの意味だから置いておいて……」

「おい! そこは主人公のである僕の勇姿が余すところなく披露されるべき所だろう!?」

「実十くん、急に説明口調になったのじゃ」

「まだ自己主張したいお年頃なんでしょ?」

「そこ! うるさい!」

 と、子芝居ならぬ茶番劇を繰り広げた後に。

「では実験。『未来改変フューチャーチェンジ』がどれぐらいの威力を出すのかテストします」

「よ! 待ってましたそういうファンタジックなの!! ホントに待ってた!!」

「そこ! うるさいのじゃ~」

 などと、実十の幼馴染を盛り上げた後に。100文字の未来改変を打ち始める湘南桃花。

「で、なんて書くんだ?」

「えーとまず、エレメンタルエネルギー問題を先に計算しないと。無限に実験は出来ないんだよね?」

 桃花ももか雛夏ひなに確認する、実十みとはまた傍観者、いや。生き証人だ。

「えっとー、桃花が持ってるEEは2000EEで、利子は桃花が強すぎて。実十が弱すぎるからその中間点でマイナス30%にしておいた。んで、ワシが利息としてもらえるEEは600EEじゃ。ちなみにこれは1日分の計算じゃな」

「てことは、1日3回しか打てないのかあ~」

「ちなみに、3回能力使い終わったら。バッタンキューじゃからな?」

 桃花はやっぱり悩む、書いてから〈了承〉ボタンを押すまでは【考える】ことは出来る。ここはありがたいとは思っている。

「実十君とか雛夏ちゃんは何かやりたいおとある?」

「いや? とくにない」

「むしろ桃花が何やりたいか観たい」

「ふむう、私しだいかあ~……」

 考えて、考えて、考える。


「えーっと今、東京でドラゴンが1000匹暴れてるんだよね? 確か」

「そうじゃな、けが人続出じゃな。ま! ワシが蒔いた種じゃが! これがどう芽吹いてくれるか楽しみで楽しみで~」

「じゃあその雑草をとりあえず消そう、あ。消すのは可哀そうだから、異世界に送り返すって事にして……」

「うおおい! 折角の大惨事を!?」

「あ、やっぱ悪党なんですねこの幼女は」

 実十は改めてこの人物の人物像を再構成しなおした。


《ドラゴンを1000匹、元の異世界へ還す。》 


 ステータス画面で文字数20文字、残り80文字まだまだ書ける。

「む~」

「頑張れ、世界の命運がお前にかかっている!」

「がんばぇ~☆」


《西暦2020年7月14日14時00分。龍を千匹、元異世界へ還す。戻った龍は日本国と友好関係を築くために動く。日本国首相は、異世界交流の準備。門の向こうは草原、敵兵なし、自衛隊は陣地を広げ守りを固める》


「こんなもんか」

「おぉ~」

「雛夏~。私に文才力と道徳心がなかったらどうするつもりだったのさ~。これぶっちゃけ滅茶苦茶強いよ?」

「ノンノン! 絵心魔法よりかは弱い、あ。こっちの話ね」

「「?」」

 と、ノリツッコミを雛夏がした後に……。桃花はノータイムで押す、実十はそれに驚く。

「んじゃ、〈了承〉押すよ。ピッ!」

「そんな心の準備まだなのに!?」


 そして例のステータス画面が、射程範囲である江ノ島エリアと東京都エリアに一斉に電波する。プレイヤーという名のゲーム参加者全員にメッセージが送られた。

《湘南桃花が能力『未来改変フューチャーチェンジ』を発動しました。世界線が変動します。14時00分に未来改変が行われます。1時間後です、衝撃に備えましょう。》


 実十は生き証人としてその動向を見守る。

「なるほどなるほど、こうなるのかー」

「あとは待つだけか……」

「……またお茶でも飲みます? 2人とも」

 実十が気を効かせてくれた。

「うん、お願い」

「なのじゃ!」

 というわけで、再び。また、部屋のドアを閉めた。



 東京都、とある警察官の悲鳴と共に東京駅は戦場となっていた。そして皇居へも、脅威はすぐとなりまで来ていた。

「世界線ってなんだ!?」

「オタクが知ってました! 内容は良くわかりませんが1時間後に状況が変化する模様です!」

「何としても皇居は守り抜け―!」

「自衛隊! 1時間持ちこらえろー!」

「ダメです! 門が破られます!」

 ドカァン!!

「「「「キャアアアアアアア!!!!」」」」

 その時、秒針を正確に刻み続けていた針が止まった。


 西暦2020年7月14日14時00分。世界線変動率……。


 カチ、カチ、カチ、フウォオンン――!!

 時間は誤作動を起こし現実が改変される。

 門は破壊されず、破壊された事象を書き換えて。その誤作動を無かった事にされた。

 ドラゴンは門へ向かって、超高温の火炎を吐くのをやめた。……そして、フルメタルブラックドラゴンは。元来た門の向こうの異世界。故郷へ帰って行った。


 首相官邸

「ドラゴンを、追い払ったのか……?」

「どうやったんだ!? すぐに調べろ!」

「ステータスとやらでは湘南桃花しか解らんぞ!?」

「住所、検索出来ました! 日本の神奈川県に居ます! すぐに自宅へ電話を!」

「桃花まで解ってるんだ! 携帯会社へ連絡しろ! 直接だ! 私が直接連絡を取る! 繋げ!」

「緊急時なんだ! 急げ!」

「総理!? は! はい!! 繋がりました、電話します!」



 江ノ島、豊穣家、実十の部屋。


 実十はガチャリとドアを開けた。

「お待たせ~、って……これでお茶何杯目なのさ、1時間もお茶当番なんて」

 湘南桃花は雛夏とテレビのライブ中継に釘付けだった。と、その時……。

「だって他にやること無いんだもん、ね~☆」

「ね~☆」


 ピピピピピ……!!


「オロ?」

 湘南桃花のスマートホンから電話音が鳴り響いた。 


◆~Q&A~◆


 Q5、『未来改変フューチャーチェンジ』で出来ないことは何ですか?

 Q5、今あるものを未来で改変する能力なので、【今ない】ものは改変できません。無いものは無い・動かないものは動かない。また、ゲームマスターである雛夏ひなが空想してないいわゆる空白の部分は。ゲームマスターが了承できる範囲で文章を埋めることが出来ます。


 Q6、絵心魔法って何?

 A6、ゆめみじ18の小説『絵描きのマリーが異世界へ行くとこうなる。』の女主人公の魔法が絵心魔法、お絵描きした絵と文章は何でも実現できる。ただし、描く時間が長く隙が多い。2021年4月12日現在、ネットには無い。はず……。


 Q7、ステータス画面は電波の無い所でも届きますか?

 A7、ステータス画面は魔法で表示されているので、電波がなくても届きます。また、充電やバッテリーの必要もありません。誰もが等しく平等に開けます。

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