第43話 6-5


ベッドに座った足の間に白い大福。


中身は俺の大好きな人。


白い皮を剝いでしまえば中身は全部見れるけど、そうしたが最後、俺は大福化している蓮見さんの全信頼を失う。



「・・・蓮見さん、聞こえますか?」



「・・・聴こえる。」



もぞっと動いて、気まずそうに、不貞腐れた声が返ってきた。



「蓮見さん・・・俺のお願い聞いてくれますか?」



「・・・・・・拒否権は」



「ないです。もう、俺以外の前で蓮見さん飲酒禁止です。」



「なんでよ。」



「あまりにも危険だからです。だめ、絶対だめ。どんな蓮見さんでも俺が面倒見るんで、俺がいないところでのお酒禁止です。条例に追加します。」



「・・・きゃ」



「認めません、却下は却下デス。」



「・・・彼氏でもないのに」



「あ~~蓮見さんがそれ言います?彼氏になりたい俺にそれ言うんですか???」



「・・・・・・」



「はぁ・・・」



抱きしめた腕に力を加え、抱きしめた白い大福にぎゅっとくっついた。



「・・・蓮見さんに、直接なんて触れない。無理矢理何かしたいんじゃない・・・自分でも信じられないけど、傍にいていい距離を許されてるのが嬉しいんですよ、俺・・・」



白い皮の中は息苦しくないのかな、暑くないんだろうか。


生身の蓮見さんには、危険回避の時しか触れられない。


抱き締めるなんて以ての外だ。



「ちょ、蓮見さんっ・・・?」



「・・・苦しい」



「(笑)蓮見さん自分でくるまったんじゃないですか(笑)」



暴れるように布団から両足を曝け出し、息苦しさに蒸気した顔にボサボサになった頭が俺の前に飛び出してきた。



「・・・コンビニからなんか変でしたけど、どうしたんですか・・・?」



「・・・・・・」



俺の質問には答えずに、またしても気まずそうに布団に顔を突っ伏して黙秘。



「・・・蓮見さんは嫌だったと思うので、謝るしかないんですけど・・・すいません、さわっちゃったのは謝ります。」



朝も夕方も、ぶつかりそうになった蓮見さんの身体に触れてしまった。


いつもは絶対に触れないように気を付けていたのに、触れてしまった。



顔を出しても俺を見る事はなく、かと言って離れることもなく、俺の目の前ではボサボサになった髪がふわふわと揺れている。



今俺は、蓮見さんが俺との距離感をどうしたいのかわからなくて、正直困っていた。



これが彼女だったり、相手が男でも付き合ってる相手でイチャイチャしていいなら直してあげたり抱きしめてキスをして、甘々に持ち込むのに、そうされたくないのが蓮見さんなんだから、白い皮から足を生やして、顔を出してはいても、安易に触れるのは・・・怖い。



「・・・蓮見さん・・・嫌じゃ、ないんですか・・・?」



・・・緊張する。



声が震えた・・・。



だって・・・顔だけ出した蓮見さんを、布団越しに抱きしめたままなんだから。



なにすんのよ、離れてよ、って、なんで言わないんだよ・・・。


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