第41話 6-3
「・・・蓮見さぁん、触りますよ、このままだとヤバいんで触りますからね、俺声かけましたからね~」
バスタオルを広げて持ち、浴槽の縁に突っ伏している蓮見さんをなるべく見ないように位置を確認して浴槽の中から引き上げる。
意識を失った人間は重いと言うけれど、眠ってしまった人間も例外ではなく、小柄な蓮見さんと言えども俺は筋肉マッチョな体型ではないし、しかし、男のメンツにかけて無事に蓮見さんをベッドまで運んでみせる!
見ないように、素肌にはなるべく触れないように細心の注意払い、バスタオルでくるんで抱き上げるところまで成功した。
シャワーを浴びたのに、この段階までで俺は汗だくだ。
「ったく・・・も、う・・・風呂場えっちでもないのに・・・っ!汗だく!もっかい、しゃわ、ぁ・・・浴び直そ・・・!」
抱き上げて脱衣所に出れば、涼しさにほっとした。
そのまま蓮見さんを抱いてベッドに向かう間も蓮見さんは目覚める事もなく、俺以外の前で酒は飲ますまい、と心に決めた。
・・・俺、彼氏でもないけどね!!
でもこんな風になっちゃう蓮見さん、他の人間に見せたくないし任せたくないじゃんか!!
バスタオルでくるんだまま蓮見さんを寝かせて、デコルテ、膝から下など肌が出ている所はタオルで拭った。
そのまま布団をかけて、使われる事のなかったメイク落としに目が留まる。
「・・・・・・はぁ・・・・・・嫌がるかな・・・・・・起きたら・・・・・・でも・・・・・・」
化粧したまま寝ちゃった!!肌やばい!!とセフレだった女が朝騒いでいたのを思い出して、俺は寝ている蓮見さんのメイクを落とし、化粧水と乳液を塗り、なんでこんな事をと思いながら満足するのだった。
だって!!
なんか気になったらしないとモヤモヤするじゃん!!
それに、化粧を落としてもっちりしたほっぺた可愛い・・・。
欲望に負けて少しだけツンツンして、ぷにぷにとつまんでみて、これ以上は条例違反に当たると行動を自制して、自分を静めるべく俺は2回目のシャワーへと向かう。
けどなんだかなぁ・・・好きな人を前にしても、めちゃくちゃヤリたいとか、欲求が込み上げるわけでもなく、からかったりふざけて下ネタ言ったりはするけど、それも蓮見さんの嫌そうな顔やウンザリする顔が面白いからで、蓮見さんといると『守ってあげたい』が一番なんだよね。
見えるところにいてくれるのが安心するし、欲望で抱きたいとか、ヤリたいから関係を続けたいとか、身体の関係が絶対ないとダメとかじゃない。
え・・・もしかして俺、性欲減退してんのかな・・・まじ・・・?
どうしよう、もう枯れ気味なの??
まだハタチなのに!!
そう思えるほど、自分でもわかるほど精神が安定している。
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