第195話 機動部隊

「大統領!大統領!」


生き残ったSP達がこの機を逃すまいと大統領の無事を確認すべく大統領の乗るリムジン、ビーストへと駆け寄って行く。


「全部隊は散開、テロリスト集団の降伏を促せ。抵抗するようであれば発砲も厭わない」


即席で作られた大統領救出部隊、そのリーダーは米海兵隊の大尉であったマイクが務めることになった。彼らの部隊は次々とテロリストを亡き者にしていった。


「見た感じ全員尻尾を巻いて逃げてったようだぜ、アレク」


「油断するなよロイド、何かあったらすぐに知らせろ」


「了解だ」


ロイドという友人、彼らのコンビネーションは凄まじくテロリストの武器と技能を差し置いて、制圧し優位に立つことができた。


彼らは今地上に降り立ち、テロリストの亡骸を見ていた。


「…ロシア製の銃か?」


「AK-47だな。こっちはAN-94、AK-12もあるな」


世界各国の銃器の知識に詳しいロイドが転がり落ちてる銃の名前を当てていく。


「手筈ではSP達と共にこの場を去ることになっている。周囲の捜索後に彼らと合流するぞ!」


「「「イエッサー!!!」」」


元気の良い声が共に動いていた部隊内から響き渡る。


M4カービンを構えた部隊は銃弾やら何やらで多分この後の未来廃車確定の一般車やらトラックやらバスやらの間、車の下を見ていく。


そんな時であった。俺が声を掛けられたのは。


「…あんたシークレットサービス、SPじゃないな?おそらく組織の機動部隊」


「…!あんたは…!?」


一般車の影からヒョイと出てきたその男は黒いコート姿の中年、目には鋭い眼光を持ち合わせた男だった、


「私はトーマス フォード。TSAのエージェントだ。運輸保安庁の職員ではないぞもちろん」


最後の言葉はジョークて言ったのか、彼はそう言うと不敵に笑った。


「…マイクだ。マイク アレックス。機動部隊を知っているということはあんたエージェントか?」


「いかにもそうだ。大統領との会談と護衛を任されていたがこのザマでね…君達が来ていなければ大統領の命も危なかった。感謝する」


彼はそう言うと短くコクリと顔を傾けた。礼のつもりなのだろう。


「他の襲撃者連中は?」


「全員サン・ディエゴフリーウェイを逃げていった。あの橋の上にM2が載った機関銃があるはずだ」


「M2…」


聞く限りでは大量の銃弾とそれに対応するアサルトライフル、カービン、機関銃、そして爆弾を大統領車列はフルで貰い受けた。


そのせいか、大統領の乗っていたビーストにあともう一回爆弾が命中していれば中に乗っていた彼の命は危なかったと言う。


「…いやあなた達が俺達が来るまで戦ってくれたおかげだ」


俺は彼に感謝の恩返しのつもりでそう言ったが、彼は俺の言葉を最後まで聞いたあとゆっくりその場を去ろうとする。


「…どこに?」


俺は何気なくそう聞いたつもりだった。だが彼は予想もしないことを言ってのけた。


「たった今サン・ディエゴフリーウェイが混雑しているのは知っているか?その先の605号線を本来こちらに来るはずだった車両が原因だ」


「ああ」


「追いつくなら今がチャンスだ。私は彼らの後を追う」


「…!追うのか?今からでは到底…それに一人では危険だ!」


「私以外のほとんどが手負いの者になっているかもしくは介抱しているかのどちらかだ。彼らのような危険人物達をLAPDの警察力で今すぐどうにかできるとは思えない」


「確かに…そうだが…」


現に彼らはM2重機関銃を持っていたのだ。それでさえ脅威だと言うのに彼らは気にすることなく、手に持った銃の弾丸を浴びせようとしてきた。彼らSPに。それでSWATが太刀打ちできるのかと確証を持てるわけでないのも確か、だがあまりに無茶だ。


「…私にはそこそこの地位がある。君のような機動部隊、軍部と繋がりの深い同僚もいる。どうだ?来てくれないか?君達も」


「何…?」


「君達機動部隊の突破力が欲しい。これ以上犠牲が増えないよう私に付いて来てくれないか?」


彼は目の光を強めてそう言った。

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