第188話 大統領と車列とTSA(2)
「手榴弾だ!!全員伏せろぉ!!!!」
爆発が大統領の車列を止めた時、ジャンクションで左右に広がるサン・ディエゴフリーウェイからの銃撃を喰らっていた。
手榴弾は何事かと出てきた多数のSPを巻き込み、内複数人の命を奪う結果となった。しかし、手榴弾程度では車列自体に傷をつける程度であり、爆破四散した車両は今のところはない。
「上だ!橋の上に複数人確認!」
「自動小銃を携帯している模様!」
多数のSPがP320拳銃またはM4カービンを構え、橋の上からの銃撃者を撃退しようとしていた。
「大統領は!?」
「前列のビーストに橋の瓦礫が直撃…後列のビーストも同様で、車両が動かせません!」
「ビースト以前の車列で撃退はできないのか!?」
「既に車線変更ラインを過ぎてます!大統領以後の車列以外で撃退に行けません!」
銃撃者は現在大統領一行がいるロングビーチフリーウェイからサン・ディエゴフリーウェイに向かう車線変更する際に通る橋で銃撃を行っているため崩壊した橋以前の車列では瓦礫に挟まれ、銃撃者の撃退はできずにいた。
それに加え、敵は高所を取っており、銀色の大型バンと端に設置されてある防護柵を盾にし、車列から放たれる銃弾をうまく躱していた。
「…大統領の救出を優先するぞ!数名をこちらに頼む!」
それはSPが瓦礫で埋まった大統領の車両の元へ向かおうとしてもうすぐの時な起きた。
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トーマス フォードは乗ってきた車を壁にして、銃弾を防ごうとしていた。
「…一箇所だけか!?撃ってきているのは!?」
「おそらく手榴弾は右から投げ込まれた者だ!奴ら銃弾を防ぐ壁がないから投げて終わりだろう!」
同僚が言うにはフリーウェイから外れた一般道と接する場所から投げられたとのことだった。
既に同僚は3人巻き込まれて死んでいる…のだろう。生き残っているのは運転手としていた男のみ。
そしてこんな時に限ってブルブルブルと震えが響く。どうやら懐のスマートフォンが鳴っているらしい。
「前に進めるか?奴らこっちを撃ってきていない…」
私は前に進むことで大統領の安否ないし銃撃者を撃退しようとしていた。
だが敵は自動小銃、それもアサルトライフルであれば射程は300mを超えるものが有象にある。
「撃ってきてない…今のうちだな、俺が先に行く…!」
「後ろは私に……!待て行くな!!」
私は異変に気づいた。これだけの騒ぎが起きればおそらくすぐに応援の警察が来るはずだ。
例え銃撃で悠長に電話することができなくとも、対向車線を走る車が通報するはずだ。
だがその対向車線の車、それが渋滞しているのが見えた。橋の崩壊が原因ではない、何故なら橋の崩落箇所は対向車線からしたら既に通過しているのだから。
そしてその対向車線では数人程度の人が見えた。だがほとんどがフリーウェイから横に出て、一般道に行こうとしている。
(逃げている…銃声でのパニックからか…だが渋滞の原因は…ここまで対向車線が止まっている原因は…!)
その時、銃声が近くで響いた。単発ではなく、オートマチック特有のダダダンという音、それはいとも容易く同僚よ体を貫いた。
「…ッ!そうか…!奴ら上と対向車線から…一般車で壁を作ったのか…!」
銃撃戦では障害物を利用して、進軍、偵察あるいは撤退をする。そうしなければ敵からの銃弾を四方八方でもろに喰らう。
だから敵は対向車線の一般車をおそらくトラックか何かでせき止め、車の壁を作った。あるいはまだいるかもしれない人質と共に。
「クソっ…!」
私がそう毒を吐いた時だ。交差するジャンクションにいた敵が何か鞄のような物をハンマー投げの要領で投げるのが見えた。
それはSPが密集して身を潜める場所へピンポイントに落ちた。そして…
ドガァァァァァァンンンン!!!!!
思いっきりの爆発音を繰り出した。
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