第114話 香港襲撃事件
「ワシントンDCで起きた件についてですが…」
「アメリカで起きた超常事件の第二波で…」
「イギリスとドイツでも不可解な事件が発生しましたが…」
「ニューヨークの被害ほどではなく、火炎放射などは確認されていませんが…」
「サイ科に近い二足歩行生物がワシントンDCに現れ…」
「出現元はスミソニアン博物館とされていますが、詳細は不明で…」
「合衆国議事堂及び合衆国最高裁判所に被害はなく」
「パトカーを粉砕しながら突進する姿は恐怖そのもので…」
「現在その生物は、ポトマック川の川底に沈んだとされており、現在軍主導の捜索が…」
「また真相は闇の底ですか…はぁ…」
「そのワシントンDC近隣の住宅街、リッチモンドにて…」
「詳細は不明ながら、5人組のグループが…」
「信用しがたい情報が入ってきました」
「ニューヨークやドイツ、イギリスの件も同等なのですが…」
「特徴としては髪の色の奇抜性及び全員がアジア系の…」
「国籍不明の若者男女グループなのですが…」
「グループは現在も捕まっておらず…」
「こちらのグループは超常的な能力を操るとされており…」
「軍人を手を使わずに飛ばしているのを見たという人も…」
「人が浮いているという目撃情報も…」
「とうとうこの世界もMARVEL作品入りか?X-MENがいてもおかしくないな」
「クリプトン星人に雷に打たれた男、コウモリ野郎もお呼びだ」
「リッチモンドには陸軍及び空軍が集結、大規模な住民誘導が行われたと…」
「F-22ラプターがアンドルーズ空軍基地からスクランブル、うち1機はワシントンDCに向けて…」
「州間高速道路へ爆撃を行ったことで数十キロにも及ぶ渋滞はいまだに解決の目処がただず」
「さらにハイジャックされたCH-47チヌークの墜落地点も合わせ、リッチモンドへの移動は困難を極め…」
「あれだけの米軍がいながらも逃がすとなるとは…いやはや…」
「この事件が起きる前、事前に高速道路に戒厳令が敷かれていたらしいですが、それを破って街の中に入ったとされており…」
「速報です!犯行グループは現在シャーロット国際空港付近に潜伏中とのこと!」
「もし見かけた場合は近くの警察署あるいはFBI、巡回中の軍人に…」
「こちらがその犯行グループの顔写真です!」
2022年8月12日 現地標準時
午前9時9分
中華人民共和国 青衣北岸公路
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「なぁガイム。アフリカで大量殺人があったらしいぞ。犯人不明で3ヶ国に渡ってる」
「ふーん…それがどうしたの?」
「カメルーンの現地住民の映像が公開されててさ。明らかに警察のヘリコプターじゃないのが写ってる。ブラックホークとリトルバードからして米軍あたりの」
中華人民共和国、またの名を中国というこの国に俺達は来ていた。
「その…カメルーンってどこだよ。俺にとってはアフリカすらよく分からない」
「アフリカはヨーロッパ、ユーラシア大陸の下」
「へ、へぇ、てかアナリス、俺がユーラシア大陸とかそういう単語を全て知ってると思うな」
「いや、常識でしょ…」
俺達はとりあえ近くの都市、香港に身を隠すことになっている。空港だと変な奴らにまた捕まる可能性があるから、都市に行こうとなったのだが。
…にしても空港に追手がいなかったのもさることながら、飛行機、正確には貨物室の中で眠れた事がありがたかったものだ。トイレはどうにかこうにか目立たないように行ったが。
香港行きのバスはゆっくりと進む。
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-中華人民共和国 香港中心部-
「この街もすっげぇデカいんだなぁ」
「世界は広いですからね。いろんな屋台がありますよ」
キルアとカノンはこの光景、色付けられてビル群に興奮気味のようだ。
「あぁ、それは良いとして、なんか目付けられてるよね?」
「どうも…CNNが俺達の顔写真を公開してるらしいぞ」
俺がそう言うと状況理解が早いヒカルとアナリスの顔に不安が差し出す。
「…それまずいよね?なんでそう言うの早く言わないの?」
「今知ったばっかんなんだよ。俺だってスマホの操作にそんな早く慣れるもんじゃないし」
「…変装できる魔法ってないの?」
「あるけどこんなに多くの人は無理だね。多過ぎる」
「剣しか…私にはないです」
「何?あたしには透明になれる魔法があるけど、一人専用なんだよ」
無論、俺も無理である。
とその時だ。丁度バスを降りた地点、そのほぼ目の前に止まってあった車から人が降りてきた。
「失礼だが…あんた達」
赤のラインが特徴の銀色のセダン。その赤のラインには[POLICE]と書かれている。
「はい?え?」
俺が戸惑いの声を上げながら、目の前にいる二人組の男、いや警察官と言うべきか。警察官は俺達に嫌そうな表情を隠すことなく
「通報があったんだ。テレビにいた奴と似ているってな。身分証明書を見せてくれ」
言い方は丁寧だが、口調には人を強制させるかのように低く強い声色だ。素直に従えと言うことだろう。
「ああ、えっと、ホテルに置いてるんですよ。荷物全部」
「そんな訳ないだろ。早く見せろ」
「いや、ほんとに」
ヒカルがどうにかこの場を切り抜けようとするが。
「ならパスポートは?免許証でも何でもいい、とっとと見せろ」
「だからそれらも…」
「そこの赤髪の女、お前怪しいな」
「は!?何が怪しいってんだよ!」
キルアの反論に警察官は明らかに見る物を変えた。
「お前逆らう気か!やっぱり何かあるんだろう!」
「ちょっと待って下さい!この人はちょっとお馬鹿なだけで…」
カノンがどうにかこの場を抑えようとするが
「私は嫌な予感する」
アナリスはそう言う。その予想は1秒後に的中し、警察官達は大股でキルアへと近づく。
「来い!こいつらを拘束する!」
「ちょっ!?やめろ!離せ!」
「仕方ない!アナリス魔法を!」
ヒカルがそう言った時、アナリスの手は色なき光を放っていたが、予期しない出来事が起きた。
ドカーン!!!
市街一面に波紋のように広がる轟音。それと共に立ち昇る煙。それらは左斜前方のビル群で起きていた。
と目の前にいた警察官達はいつの間にか無線機を手にし
「至急、油麻地へ。デモ活動鎮圧を行います」
そのままパトカーに乗って去って行った。
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