第106話 米軍VS異世界人(14)
「ヘリコプターというのは重力に対する揚力が大きいから浮いてるの。つまりアナリスがずっと上向きに力を加えとけば落ちないはず」
「……さっきからやってんだけど。あとガイムもそのレバーみたいなの引いてね。じゃないと落ちるよ」
「よく私達が運転してて落ちませんね…いつでも落ちそうな気がしますけど」
どうにかこうにか俺が機長席、ヒカルが助手席(?)にいるわけだが、正直言って俺がやることはレバーを引っ張ったり、操縦桿を左右に動かすだけで済む。
《ちなみに一般のヘリコプターでさえ、免許取得は18歳以上。てか18歳以下には運転…できない》
「えっと…これがレーダーで…あとは分からん。ガイムお前がヘリコプター盗むって言ったからお前が責任取れよ」
「ええ〜。何も考えずに言ってしまったからなあ」
「そうなの…お、これが運転補助システムか。確か2020年に国防総省が全てのCH-47Fに投入したんだっけか?」
何はともあれ飛んでいるので良しとしよう。あとは街を出るわけだが。
「ハッチを閉めるボタンはここね。閉めといて」
アナリスが早急にスマホを使ってこのヘリコプターのハッチを開閉ボタンを教えてくれた。
「ここにあるカチカチできそうなレバーは?」
俺が言うレバーとは、機長席と助手席の間にある10数個の小さいレバーだ。本来車ならば、手を置く場所にあると言ったらいいだろうか。
「知らん。そういうのは…ハテナって感じ」
「ほんとに…落ちませんよね?」
そんなやりとりを聞いていたカノンがそう言うが、正直言うと多分落ちそう。
でも街からはひとまず出られたようで下に森が広がるところまではこれた。しかし機内に規則正しいアラーム音のような甲高い音が響く。
「うわあっ!?うるさいなあ!なんだよ!」
それまで黙っていたキルアが反応する。
「レーダーだ。識別コードは友軍だな。ここまでレーダーが反応しないとなるとステルス機か?」
距離はかなり近いようだ。真ん中に幅とるレーダー計のかなり内側のほうに2つレーダーがあり、それぞれ左下と右下でこのヘリコプターを追い込むかのように緑色に光っている。その上にはマーク、Frendlyの文字が光る。
「音が…あの何か来るんですか?」
「多分F-22だ。まずいぞ。輸送ヘリなんか一発で…」
「無線は?何か来ないの?」
「無線?…ないよ。何も」
俺は悲痛の表情でそう言う。既にレーダーでは真横に戦闘機がいることが映し出されている。
「私がこのヘリコプターを動かすからカノンとキルアが!」
「ええ!?」
「本気ですか!?あれを相手にしろと!?」
カノンが珍しく反論する。
「そう言われても…私は無理だし。あいつらは運転しないといけないし」
「あ…まあ分かりましたけど」
まだ憮然とした表情だがカノンは納得したようだ。キルアはというと
「今空だよな!?浮かんでるんだろ!?」
パニックを起こしていた。すると再びレーダーとは違う何かの警告音が響く。レーダーを見ると戦闘機は2機とも再び後ろにいる状況だ。
「やばい!空対空ミサイルだ!フレア!」
ヒカルはそう言うと何やら計器をイジり始める。
「何か…赤いボタン…どこ!?ガイムも探して!」
「はあ!?赤いボタンって…」
赤いボタンなんか見ただけで4つも…
チュドーン!
……
ピーッ!ピーッ!
「高度が下がってる。被弾は!?」
「私が止めた!でももう無理!ハッチを開けて!」
「ガイム!そこのボタンを!」
「あ、うん」
俺は言われるがままヒカルの言うボタンを押すと、閉ざされたハッチが開き出す。
風がビュービューと入ってくる。気にはなるが、運転に集中しなければ。
「何か…来ます…」
カノンの言葉に一瞬だが、後ろに振り向く。
そこにあったのは2機のF-22。そして撃たれた2発のミサイル。
「キルアさん下がって!」
「うえ!?」
カノンはアナリスに言われたとおりに戦闘機を相手にしようと前へと飛び出したが、カノンに制させる。
「なんとか防いでみます…!」
「頼む…!」
俺はカノンに思いを託すようにして言う。
「被弾1秒ま…」
ドーン!
……
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