第97話 米軍VS異世界人(5)
ガタン!
俺は横になりながらもどうにかトラックの上に乗ることに成功した。
辺りを見渡すとどうやら俺以外の4人もアナリスの魔法のおかげかトラックの上に着地している。
トラックはそのまま高速道路を走り続ける。ひとまずは俺達は逃げるのに成功したっぽい。俺はヒカルが提案した作戦の感想を言う。
「強行突破って難しいのにするのかって思ってたけどな。案外うまくいくもんなんだな」
「あれでしばらくは俺達を追ってはこれない。あと次はないぞの脅迫も合わせると、こうなるかな。キルアのおかげで赤外線もなんとかなったし。スリルは満点」
ヒカルはニヤけたままそう言うと…ブラックホークがトラックの進行方向の左で飛んでいるのが見えた。
「ねえ!?あれヘリコプターですよ!?大丈夫なんですか!?」
カノンが取り乱してそう言うが
「銃は撃ってこないはず。民間人に当たったら洒落にならないから」
とヒカルが言ったとおり彼らは銃を撃ってはこなかった。
と同時に後ろにどこか既視感のある車両が目に入った。
___________________
どうにか私は臨時の作戦本部へと行くことに成功した。そこでも何があったのは想像がつく。機器は全て高いところから落ちたかのように破壊されている。
「…ん?おお、無事でしたか…」
白髭はいつ戻ったのかそこにいた。
「全て駄目になったか?」
「歩兵が着けている無線なら使えますが、あちらにあった他の機器は見てのとおり」
「彼らを追うことはできるか?」
「現在ブラックホークと先回りしていたハンヴィー2台が追跡。ですが彼らは既に高速道路へ出ました。銃撃は民間人を巻き込む為やめてます」
「分かった…我々のほうでも動こう」
私はそう言うと来た道をシャーロットと共に戻る。
「このままだとリッチモンドに行かれてしまう」
「分かっている。エレナ、我々の部隊は高速道路の出口で待機させられないか?」
「ブラックホークでギリキリね。十分に準備ができるかどうか…」
「何もしないわけにはいかん。私は車で追う」
「なら私も乗っていいかしら?」
エレナはそう言うと私に付いてくる。林の中に止めてあった自身の黒のセダンに乗り込むとエンジンをかけ、アクセルを踏む。
ブラックホークが3機、高速道路を南下している。米軍のほうでもLAV-25で無理やり道路を開通させ、ハンヴィーやJLTVを通そうとしている。
私は無理やり路肩から車を通すと高速道路へと続く道を走る。
「OK。こっちの部隊も動きだしたわ」
「そうか。車を飛ばすぞ気をつけろ」
私はそう忠告した後、アクセルを思いっきり踏む。
____________________
「あのヘリコプターずっと並走してきてんな」
俺は横を飛ぶ黒塗りのヘリコプターを見ながらそう言う。
「このトラックが止まったらおしまいだな。後ろから米軍も来てるし」
そうヒカルが言うので後ろを見てみると確かにハンヴィーが2台、距離こそ離れているが追ってきていた。
「何するかな…銃は撃ってこなそうだけど」
「リッチモンド中心部まではあと30分。それまでに国際空港もあるけど一回街まで行ったほうがいいと思…またブラックホークか」
ヒカルはまた増えてきたブラックホークを見ながらそう言う。
____________________
「臨時の作戦会議だ。通信機器搭載のヘリコプターで連絡はなんとかなっている。状況としては芳しくないな。今のところ動ける車両を追跡させてはいるが」
「例のトラックを止めましょう。先回りで高速道路を遅延させるのは」
「それでは民間人に被害が及ぶ可能性がある。ここは一旦様子見を…」
「そんな悠長なことをしてる間にも奴らが民間人を殺す可能性だってあるのだぞ!」
「そうだ!リッチモンドに着いて多勢の人間を巻き込むことだってありえるのだ!多少のリスクはあるにしろ高速道路で止めるべきだ!」
「だがどうやって止める?奴らは我々の包囲網をいとも簡単に抜け出したのだぞ。再び出し抜かれる可能性だって…」
「爆撃だ!奴らをB-52かA-10で跡形もなく…」
「馬鹿なことを言うな!民間人の避難はどうする!?奴らが爆撃機が来るまで散歩でもしてるのか!?おとなしく待っているはずがないだろ!」
「現在ブラックホークが4機追跡中。指示を仰いでいます」
「スナイパーでの狙撃は?機内にスナイパーはいないのか?」
「観測手も乗っているのか?そもそもヘリからの狙撃なぞ簡単ではあるまい。流れ弾が民間人に当たる可能性も」
「ハンヴィーが4台追跡しています。例のトラックを囲んで止めるっていうのは…」
「最初と何も変わらんではないか!」
「国防総省はこのことを知っているのか?」
「空中指揮所を通して現在伝達中」
「目標のトラックは高速道路を現在も南下中。20分後にはリッチモンドに着きます!」
「我が軍のJLTVの部隊がリッチモンドでの配置完了!」
「州間高速道路95号線の出口を封鎖!……ひとまず奴らをリッチモンドで抑え込む。異論はないな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます