第96話 米軍VS異世界人(4)
「……撃て!」
白髭が言ったその言葉によってハンヴィーとJLTVのM2重機関銃、LAV-25の25mm機関砲と7.62mm機関銃が火を吹き出すと共に歩兵がそれぞれ持っているM4カービンもまた彼らに撃ち出される。
しかし…
無力と言うべきか、それらは全て突如として地面から現れた自然の壁によって全て防がれたかと思うと、今度は衝撃波でこちらの部隊は吹き飛ばされるという事態。
LAV-25はガタンと揺れただけで助かったものの、ハンヴィーやJLTVは思いっきりズラされ、兵士に至っては遠くまで爆風にでも煽られたかのように吹き飛んでいる。
私は目を閉じながらもその様子を見ようとする。兵士達が銃を奴らに向けたり、距離をとったりする中で、先に動いた彼らが次にしたのは…
光り。
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「うおお!ファンタジーなめんな地球!」
ヒカルはそう叫びながら先に進む。
「あそこ!どう!?」
俺は車両がカラッポになったところを指差して言う。
「ナイスだガイム。よし…あそこまで…横と後ろに2機ずつ!」
「了解!」
今度は[雷]の魔法だ。アナリスはそれを上空のヘリ目掛けて使い出す。
ヘリは火花を吹きながらクルクルと回りだす。
「次は後…」
と丁度背後から銃が撃たれる。ブラックホークとか言うヘリに搭載されているミニガンとか言う頭のおかしい連射力の銃。
地面をえぐりながら近づいてきている弾の跡。
「…まだかあ!」
バチバチと電流が一直線に2機のブラックホークに向かったかと思うと火が上がりだす。
「消化も忘れずに」
アナリスはそう言うと再び衝撃波を発動させる。クルクルと落ちていくヘリの火をその勢いで消したようだ。俺は作戦をふと思い返し
「誰も死なせずにって難しいよね…」
「私を誰だと思ってんのさ。見ててよ」
そう言うと手を上に振り上げる。すると目の前にあったLAV-25とか言う車両は全て宙に浮いて、落とされる。ついでにヘリも浮いて、落とされる。安定した姿勢で。
「走るよ」
ヒカルはいつになく生真面目にそう言ったのを合図に全員で走り始める。
「喰らえ!」
アナリスはそう言うと地面の土を根のように兵士がいた場所へと張り巡らせた。
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「トーマス!こっちよ!」
シャーロットに呼ばれ、私はおぼつかない足元でそちらへと向かう。全身に痺れを感じて感触が鈍くなったようだ。
AH-64Dがクルクルと回り始めるのが見える。それに続いてUH-60も。
遠くにはこちらへ向かってくるヘリと車両が見える。
兵士達があちこちへ動き回る。車両が吹き飛ばされたことで混乱が生じ、何より超能力まがいのことをされては誰もが混乱に陥る。銃声と叫び声が断続して続く中、私の体はこちらへと走って来る兵士にぶつかったことにより地へと倒れた。
体を起こして立とうとする。目の前には反転したハンヴィーから火が上がっているのが確認できる。
「トーマス、こっちよ!手に掴まって!」
私はシャーロットの手を握り、立ち上がる。
「どうなっている…?」
「今は逃げるのが先…!」
そう言った時目の前には先程まではなかったLAV-25があった。後ろを振り返るとそれら車体は全て宙に浮いて今まさに落とされている状態にあった。
バキーン!ガタン!
落下音が響く。と思ったら今度は土が根のように動き出し、我々の道を、進路を塞いだ。
「行けぇ!行けぇ!」
それでも銃を構え、撃ち出す兵士もいた。しかしそれらは全て突如として現れた空中浮遊の水流によって吹き飛ばされる。
そして私が最後に見えたのは何人かの人影がまばゆい電流を走らせる車体の横を通り抜けて高速道路へと向かっている姿だった。
「彼ら…彼らを追うんだ。早く!」
私の後ろからブレーキの音がした。
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「皆もう少しで高速道路だ!道も塞がれてるからそう簡単には来れないんだよな!?」
「だと思うよ。私の勘では」
俺達は高速道路に向かって走り続ける。
「……!後ろから来ます!車です!」
カノンの声に全員が振り返る。そこにはハンヴィーが2台横に並んでこちらへと来ていた。
それらは取り付けてある機銃を俺達に撃ち出している。
「伏せろ!当たったら死ぬ!」
障害物一つない状態での銃弾はまずい。とカノンが立ち上がり、銃弾が来る前に結界みたいなのを作る。
「くっ……重い!」
銃弾のスピードは遅くなるが着実と俺達に向かって来ている。
「オッケー!あとはこっちが」
アナリスはそう言うと銃弾を逆の方向に向けて、放つ。
それらは銃なしにも関わらずそれ以上の速さを見せ、ハンヴィーをガツン!と後ろへと下がらせる。
「よし!行くぞ!」
ヒカルが指揮ってそう言ってる時、ゴツいヘリが1機横に飛びながらこちらへと。
「ヘルファイアだ!」
ヒカルがそう言った時、アパッチから何か炎をまとった物が発射される。
「大丈夫です!私が!」
カノンは剣を向ける。そしてミサイルが剣に当たったと同時に俺達の周りを風が吹き付ける。
「……っっっっ……」
カノンはうめき声を上げ、そして力が抜けたように剣を手に持ったまま後ろへとダランとさせる。
「最強の攻撃ヘリ…[雷]はしばらくできそうにないな。だったら!」
アナリスはそう言うと突如として銃弾を出現させる。その弾の種類は様々で細い銃弾や太い銃弾などそれらが混じってたくさんある。
「日本での件が役に立つとは、回収しといて良かったよ」
アパッチは取り付けてある機銃を撃ってくる。
「喰らえ!」
そして先程まで浮かんでいた銃弾は一斉にアパッチのローター部分を狙って放たれる。
「よし!今!早く行くぞ!」
アパッチは煙を上げているが墜落しそうにはない。電気以外は効かないとでも言いたげだ。
「…あっ…!高速道路!」
俺は車両が横に光りとなって走る道路を見つけ、歓喜の声を上げる。
「もうとっくに犯罪者なんだ。車強盗してももう問題はないはず…キルア!」
「分かっ…ってええ!?あたしがやるのか!?」
「お前が一番最適だろ。盗賊なんだから」
「き、聞いてないぞそんなこと!大体車ってあれのことかよ!」
キルアが指差したのは高速道路にある車ではなく目の前にいつの間にか来ていたハンヴィーのことだった。
「やばいぞ!時間がない。撃たれる!」
「何か…何か…皆あれ!」
俺は咄嗟に高速道路を走るトラックを見る。全員が意図を察したのか
「もうこうなったら…[身体強化]つけたから早く!」
アナリスがそう言った時、ハンヴィーから銃弾が放たれる。
「ぬわあああ!!!」
俺はこちらへとやって来るトラックに盛大にジャンプして
上から飛び乗る。
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