第84話 またもや飛行機
「「よし、出発だ!めんどくさいけどな!」」
俺とヒカルは合わせるようにしてそう言う。
「ふああ……何があぁ?」
起きたばっかのキルアは状況が把握できないようだ。昨日寝てたから分からないのだろう。
「よし、とりあえず付いて来い」
「へ!?今、朝の5時だぞ!」
「ウォーキングには丁度いいだろ」
俺が雑にそう言うとキルアは顔をしかめる。さすがに適当すきだ。
だがこんな朝早くから起きた理由はもちろんウォーキングではない。それに俺達はそんな張り切った存在でもないから。
「準備済ませたな?よし行くぞ」
「ちょっと待てって!聞いてなああい!」
騒がしいキルアを宥めて俺達は歩みを進めた。
バスに乗って俺達は千葉県成田市の国際空港、成田空港に来たわけだ。この場所はテレビで何回か聞いたことがあるのでなんとなくは知っていた。そして目的地と言うのは
「1月に1回は海外旅行とは…富豪かな俺達?」
「ヒカルヒカルヒカル、富豪じゃないよ。詐欺集団、錬金集団」
「錬金集団の意味は分からないがとりあえず俺達は犯罪者と言いたいってことは分かったよアナリス」
「あの…あめりかという国にまた行くんですか?」
「カノンにとっては行くというより帰るほうでは?」
俺がそうツッコんだが誰も反応しなかった。何故だ…?
「あめりか?あめりかあめりかあめりか?なんか語呂が良いな」
「何がだよ!」
キルアは相変わらず何が起きてるのかさっぱりな様だ。説明こそしてやったもののこんな感じである。
「時間通りに来るはずだ。じゃないと早起きが無駄になるからな」
「そうだなあぁ」
そしてテンションがおかしいアナリスはどうしたものか。どうやら昨日2時間しか寝てないらしい。
「あの…大丈夫ですか?心配なんですけど…」
「私はぁ、多分…寝不足の時ってアルコールがどうとかでテンションが…ねえ!」
やっぱり大丈夫じゃないだろう。
その後アナリスは飛行機の中で熟睡した。キルアといっしょに。カノンは変わらない景色を呆然と見ていたし、ヒカルはいつもどおりスマホだ。最近ギガの消費が激しくなりそうと独り言のように言っていたのを思い出していた。
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「うるせえ!この役立たずめが!」
「敵だ!」
「早く逃げましょう!」
「熱い!熱い!」
「化け物だ!」
「迎え討て!」
「あんまりだ…こんなの…」
…………
…………
…………あれ?ここはどこだ?家の天井じゃない。角張った天井じゃない。俺の家はもっと茶色くて…
「お前大丈夫か?」
「へ!?」
「うわっ!?…こっちの方が驚いたじゃんか、ガイムどうしたんだよ?」
「……あ、悪い」
俺はヒカルに曖昧な返事をする。今のは夢だろうか。
「機内食が来たぞ。というかなんだよどうした?」
「いや夢…かな?すごいリアルな夢を見たんだよ」
「へぇぇ、どんな夢だった?そう言うの面白いから聞かせてよ」
「え?なんだっけなあ?あれ?あんま覚えてないや」
夢というのはあれだけ鮮明だというのにすぐ忘れてしまう。不思議なものだ。
「…あぁ、なんか街が燃えてたな。あと何もない空間みたいなのがあったんだけど声がした。誰のか分かんない。ただムカついた」
「なるほどねえ、何があったかは分からないけどそれ夢じゃないんじゃないの?」
「夢じゃない?」
ヒカルはハンバーグを分割した物を口に入れながらそう言う。
「うん。そのなんだろ…実は夢じゃなくて自分の過去の記憶がフラッシュバックしてるとか」
「いや俺の街は燃えたことなかったぞ。なんなら住んでたアパートにも。あと俺はそんな嫌われるようなやつじゃないぞ」
「それ自分で言うのかよ。それじゃああとは知らない」
ヒカルはそう言うと出された食事を食べるのに夢中になる。
俺はそこからは何も言わずに目の前に出された機内食を食べることにした。寝ぼけているのか手がぎこちない動きをしてしまうがどうにかフォークを掴みハンバーグを食べてみる。
味は…うん良いな。美味しいや。
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