第65話 部隊突入(2)
アナリスは奴らが突入して来た時、手をかざす。
「ガイム!早く退いて!」
アナリスに言われるがまま、俺は後ろへと引くと、アナリスの手の平からつむじ風みたいなものが現れる。そしてそのつむじ風は謎の奴ら目掛けて飛んでいく。それがスプレー缶を投げたやつにぶつかると後ろにいた人間関係なく扉から廊下へと吹き飛ばされる。
「のわあ!」
奴らは低い声を上げる。すぐにアナリスが扉へと向かう。そこで状況を完全に理解した俺達に不安が襲いかかる。
「なんですか!?彼らは!?」
「説明は後!早く逃げるよ!ついてきて」
カノンの質問を弾き返してアナリスは奴らが起き上がる前に宙に浮かせ、思いっきり天井に叩きつける。呻き声がしたあと、ドサリと再び床に落下する。しかし奴らもスプレー缶のようなものを廊下に投げたことで白い煙が充満する。
「なんだよ!これ、ゲホ」
「喋らないで!これ吸ったら駄目!」
アナリスはそう言うとキルアを黙らせる。目の前に3人の謎の奴らがいたが、アナリスが走りながら手を払うと、奴らも払われた方向の壁に叩きつけられる。俺はアナリスに付いていこうとするが視界が突如反転したかのような感覚に陥った後、俺は立てなくなり、その場に崩れる。
「ガイムさん!」
カノンが俺の状態を見たのか、すぐに駆けつけるが俺の体は宙に浮いた感覚になる。いやアナリスの魔法により宙に浮いていた。
だがこれで助かったわけではなく今度はカノンがバタリと倒れる。しかしカノンもまた宙に浮き上がる。
グルグルとした感覚の中、俺の目には謎の奴らは体制を立て直しのか銃を構えながらこちらに来ようとしていた。
そのうちの一人が発泡したのか、白い煙の中で一筋の光がこちらへと向かってくる。
そのあとは視界が真っ暗になって何も分からなくなった。ただ俺の体が地面に落ちたことだけは覚えている。
_________________
突入から2分後
TSAエージェント 田村雅俊視点
_________________
「状況報告まだか!」
「部隊1,部隊2状況は!?」
オペレーターが呼びかけるがまだ応答はない。そして予備部隊を突入させようとした時だ。
『ジ……こちら部隊1。[人間]3人を鎮圧。一人行方不明…部隊に負傷者多数』
『部隊2。…奴らの一人にゴム弾を発砲した。これより止血処置をする』
「一人行方不明?発砲?」
『ああ…赤外線カメラで調査中だが、見渡らない。指示を』
『すみません。逃がすよりかはと思い発砲を…』
「部隊1.2へ。3人をロビーに移送してください。行方不明の一人は…」
「部隊5に捜索させろ。変わってくれ」
ここで雅俊は担当のオペレーターと変わる。
「発砲を受けた奴は止血処理が終了次第運び出せ。捉えた3人の髪色を報告しろ」
『男の方は茶で、女は紫と銀です』
「了解した」
雅俊はそう言うと今度はヘッドマイクをつけ無線に顔を近づけた後
「待機中のヘリコプターに告ぐ。ホテル周辺で赤髪で低身長の女を捜せ。部隊5も同様に行え」
雅俊がそう言うと目立たないように遠い位置に待機していた黒いA-109 ヘリコプターがホテル付近を飛来する。
「一人逃したか…」
雅俊は突入した部隊を攻めるつもりはなかったが、思わず苦言した。
_________________
突入から5分後
ヒカル視点
_________________
状況が変わったのは多数の部隊がホテルから出たところからだ。奴らは担架みたいなのを3つ抱え、真ん中に停めてある護送車へと向かって行く。担架には布が被せられており、誰が運ばれているかは分からないが、俺はすぐに理解できた。
彼らだと。ガイム達が今捕まったのだと。
だがそれを見ながら疑問に思うことがある。彼らは4人のはずだが担架は3つしかない。
となると…もしかして…と思いホテルの壁や付近の建物に目をこらす。
しかし黒いヘリコプターが1機、飛んで来たことにより、その行為は遮られる。思わず目を背ける。だがその先にいたのは長時間走り終わったのような格好で膝に手をつく少女。
俺は急いでその赤髪の少女、キルアのもとへも駆け寄った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます