エピソード43 Mr.Hyde made

「好きだ」

「殺す」

「好きだから殺す」

「殺したいくらい好き」

「生まれてきてくれてありがとう」


「ふふ、嬉しい。信也くんにそこまで思ってもらえてるなんて、私わかってなかった」

「生まれてきてくれてありがとう。だから死なれる前に俺が殺す」

「うん、いいんだよ」

 彼がゆっくりとこちらに向かってくる。足元に転がる指の第一関節程度の大きさの薬瓶を踏み潰して。

 彼はもう、私を愛するだけのモンスター。この世には害をもたらす悪魔の存在。

 だからこそ、私が彼と一緒にこの世を去るの。

 彼のあのたくましい手に抱かれて。


「どうして泣いてるの?」

「俺、もう自分が分からない………」

「大丈夫、もう一回、お薬のも?」

「うん」

 彼は私を殺したいほど好いているけど、それって異常だよね。

 だから――――


「私がの信也くんにきっと戻して見せるから。だからそれまでは私でしてね」


「俺にはもうお前しかいないよ」


 好きになった方が負けなんだよ?

 負けた方は、勝った方に好き勝手されるのは、歴史が証明してるよね。

「信用してくれてありがと。私にも信也くんしかいないよ」

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