夏祭りに行こうよ(葵視点)
今日も今日とていつもの神社で雪華を待っていた。
私は夏夜中を眺めている。
雪華「葵〜!」
彼女が私の名前を呼んで走ってくる。
葵「雪華!」
私は石段を降りて、彼女の名前を呼ぶ。
雪華「やっほ〜」
葵「やっほ〜。ってかその格好お祭りでも行くの?」
雪華「そうだよ!」
葵「聞いただけなのに当てちゃった笑」
雪華「葵も甚平着る?」
葵「私は大丈夫だよ」
雪華「そっか」
私は甚平を着ることを辞めた。
別に甚平が嫌いなわけじゃないけど、ワンピースの方が良かった。
葵「お祭りって何時からだっけ?」
雪華「5時から夏夜駐屯地であるよ」
葵「今3時半だから早く行った方がいいよ。」
雪華「そうだね。」
そして私達は夏夜神社を後にして、駐屯地へと向かう。
葵「暑いね」
雪華「本当だよねえ。アイスでも食べたいよお」
葵「じゃああっちに行ったら食べよっか」
雪華「うん!」
そして蝉時雨が響く沈黙の空間になってしまった。
私はあと何日ここに居られるんだろうかと考えた。
でもそんなこと考えてもこの時間は楽しめないと思ったから
私は笑顔でいる事を決めた。
雪華の顔を見たかったが、私は見れなかった。
それは夏の日差しに邪魔されたから。
まだ沈黙が続く空間。
私はどうしても彼女の顔を見ることはしなかった。
そして沈黙は終わった。
例の場所の着いたからである。
門が開いた。
私は雪華の顔を見なかった。
葵「どこ行こっか」
雪華「まずはアイス食べたい」
葵「良いね」
そして2人でアイスの屋台へと歩いていく。
人は例年のように沢山いる。
蝉の声が聞こえてくるが夜の蝉の声は綺麗だなと思った。
雪華「次何しよっか」
アイスを買ったあと雪華に問いかけられる。
葵「ねえねえ!あの屋台何?」
私はベビーカステラと書かれた屋台を指さして言う。
私はベビーカステラというものを知らなかった。
雪華「あれはベビーカステラだよ。食べる?」
葵「うん」
そしてベビーカステラの屋台に行ってベビーカステラを買った。
私はベビーカステラを頬張っていた。
雪華はベビーカステラの屋台の横に焼きそばがあったので買って食べていた。
雪華は巾着袋の中から携帯を取り出して時間を見る。
時刻は8時10分だった。花火が打ち上がるまでに後10分。
葵「そろそろ花火見に行こっか」
ベビーカステラを食べ終えた私は雪華にそう言った。
雪華「うん」
雪華はそう答えて座っていたベンチから立ち上がる。
そうして広場に行った。
人々は事前に準備していたであろうブルシートの上に座っていた。
私らはブルーシートなんて無いので、立って花火を見た。
そして蛍の光が流れて、私達は帰る。
葵「じゃあね。私の家夏夜中の方だからさ」
雪華「じゃあね。」
雪華と私の家は反対方向なので、そこでお別れした。
私はもうすぐ消えてしまう。
だからその前に彼女に手紙を書き残してから消えてしまおう。
彼女には気の毒だが、成仏しきれなかった幽霊と一緒に居てしまったら
彼女は嫌われてしまうだろう。
そうなる前に消えなきゃね。
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