夏祭りに行こうよ(雪華視点)

今日も葵に会うために神社へと向かおうとしていた所だった。

すると姉の夏美に呼ばれる。


夏美「雪華〜」


雪華「何?お姉ちゃん」


夏美「今日は午後5時から夏夜駐屯地でお祭りだけど雪華は行くの?」


雪華「行こうかなとは思ってる。夏美お姉ちゃんはどうせ夜月先生と行くんでしょ?」


夏美「まあね。付き合って無いけどね」


雪華「付き合ってしまえばいいのに」


姉は夜月先生の生徒だけど、付き合っている関係には無いようだ。

2人とも「友達なだけだ」と言う。

まあ私は付き合ってもそうじゃなくても良いんだけどさ。


夏美「別に友達止まりでもいいんだけどさ」


雪華「まあ友達以上恋人未満ってやつ?」


夏美「まあそんな感じなんじゃないの?」


姉は困惑しながらもそう答える。

夜月先生ってお姉ちゃんの事好きそうだけどね。

まあ妹の私が口を出すのはさすがにダメだね。


雪華「とにかく甚平着ていくかあ」


夏美「あ、そのまま行くの?今2時半よ?」


雪華「大丈夫だよ。本読んでるから夏夜神社で。」


私は姉に葵という友達の存在を隠してあくまで一人ということを言った。

別に葵の存在を隠したいわけじゃないけど。

隠したくない以外の理由は何だ?と聞かれれば、私は「葵とずっと一緒にいたいから」

と答える。


でもこの間葵に相談したのは、葵に「友達が出来ればいいのかな」と思ったから。


夏美「そっか」


姉はそう答える。


雪華「行ってきます」


私は姉にそう言って、外に出る。


私は蒸し暑い外の中、夏夜神社へと歩いていく。

蝉時雨がうるさかった。

でもこんな夏も悪くなかった。

だって葵がいるから。

今なら彼女が居るからなんでも出来る気がした。


そして夏夜神社に着く。


私は階段を登って、鳥居の前に着く。


私は鳥居をくぐった。


雪華「葵〜!」


葵「雪華!」


彼女は石段から降りてこっちに来てくれた。


雪華「やっほ〜」


葵「やっほ〜。ってかその格好お祭りでも行くの?」


雪華「そうだよ!」


葵「聞いただけなのに当てちゃった笑」


雪華「葵も甚平着る?」


葵「私は大丈夫だよ」


雪華「そっか」


葵にそう言われて私はもう1着の甚平をカバンの中にしまう。

葵は甚平をあまり好んでいないんだろうか…?


葵「お祭りって何時からだっけ?」


雪華「5時から夏夜駐屯地であるよ」


葵「今3時半だから早く行った方がいいよ。」


雪華「そうだね。」


そして私達は夏夜神社を後にして、駐屯地へと向かう。


葵「暑いね」


雪華「本当だよねえ。アイスでも食べたいよお」


葵「じゃああっちに行ったら食べよっか」


雪華「うん!」


そしてそういった後の空間は蝉時雨が響く沈黙の空間だ。

葵の顔を見ると、葵は幸せそうな顔をしながら歩いている。

暑さなんて気にしないくらいのとびきり笑顔で。

「なんでそんなに笑顔なの?」と聞きたかったが彼女の幸せそうな顔を邪魔する

訳にも行かないので、あえて聞かない事にした。


やはり沈黙は続く。

葵の顔は変わらず、笑顔だ。


そんな沈黙が例の場所について終わった。

やがて沈黙が騒がしい声に変化したから


門が開く。

葵は騒がしい空間の中でも笑顔でいる


葵「どこ行こっか」


雪華「まずはアイス食べたい」


葵「良いね」


そして2人でアイスの屋台へと歩いていく。

人は例年のように沢山いる。


蝉時雨は今もうるさいが、人々の声で少し掻き消されている。

でも夜の蝉時雨も良いなと感じる。


雪華「次何しよっか」


アイスを買った後私は、葵に問いかける。


葵「ねえねえ!あの屋台何?」


葵がベビーカステラの屋台を指さして言う。


どうやら葵はベビーカステラを知らない様だった。


雪華「あれはベビーカステラだよ。食べる?」


葵「うん」


そしてベビーカステラの屋台に行ってベビーカステラを買った。


葵は美味しそうにベビーカステラを食べている。


私はベビーカステラの屋台の横に焼きそばがあったので買って食べた。


彼女の楽しそうな顔が本当に羨ましくてならなかった。


私は巾着袋の中から携帯を取り出して時間を見る。


時刻は8時10分だった。花火が打ち上がるまでに後10分。


葵「そろそろ花火見に行こっか」


ベビーカステラを食べ終えた葵は私にそう言った。


雪華「うん」


私はそう答えて座っていたベンチから立ち上がる。


そうして広場に行った。


人々は事前に準備していたであろうブルシートの上に座っていた。


私らはブルーシートなんて無いので、立って花火を見た。


そして蛍の光が流れて、私達は帰る。


葵「じゃあね。私の家夏夜中の方だからさ」


雪華「じゃあね。」


私と葵の家は反対方向なので、そこでお別れした。


この夏が終わるまでにあと何回葵といられるんだろうか……







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