ねえねえ聞いてよ(葵視点)
今日も私は夏夜神社のお賽銭箱に続く石段に座って彼女を待っていた
神社が高いからか、神社には部活をしている途中であろう夏夜中生の声が聞こえる。
雪華は何部に所属しているんだろうか?
雪華「葵〜!」
彼女が元気よく私に声をかけて手を振る。
葵「雪華!」
私も彼女に手を振る。
雪華「久しぶりだけど元気してた?」
葵「私はいつでも元気だよ」
雪華「そっか」
彼女はそう言うと私に微笑んだ。
葵「今日学校あったの?」
雪華「あったよ。つまんなかったけどね」
葵「何がつまんないの?」
雪華「人と話すのが苦手だからひとりぼっちなの」
彼女は私に勇気を出して告白してくれた。
葵「じゃあ私が我が友の為に協力しようじゃないか!」
彼女は私にそう言って石段を降りた。
雪華「話し掛けてくれたら必死に言葉を返すんだけど、そういうのって中々無いからさ。」
葵「確かに私が話しかけたもんね」
雪華「そうそう」
彼女と出会った時は、一人でいることを好んでいて、私を見て帰ろうとしていた。
葵「もしかしてだけど、私以外皆怖い?」
彼女にそう聞かれる。
雪華「うん。嫌われるの嫌でさ…」
葵「逆に皆に好かれる人なんて存在しないよ?私だって人の一人には嫌われてるもん」
雪華「そうなの?」
葵「うん。例えどんなに有名な芸能人で人気が高くて好かれてもその人を嫌う人は
1人や2人、嫌、何人でも居るんだよ」
雪華「そうなんだ」
葵「そうそう。だから雪華は無理に全員から好かれようとしなくてもいいの。」
雪華「じゃあさ、どうやって話し掛ければいい?」
葵「うーん…。まずは挨拶から始めなよ」
雪華「おはようとかでも良いの?」
葵「うん。」
雪華「やってみようかな…」
葵「やってみ。雪華なら出来るから。」
雪華「うん。ありがとう!!」
そして彼女が帰っていく。
葵「雪華にお友達出来るといいな」
私はそう呟いて石段に座る
葵「私もいつかは雪華の前から消えなくちゃいけないのかな」
雪華にたくさんの友達が出来れば私は、彼女の友達ではいられなくなるだろう。
だからそうなってしまう前に彼女と思い出を沢山作ろう。
そんな時が来たら、私は手紙と、プレゼントを残して消えよう。
雪華は悲しんでしまうかもしれない。
でも彼女はその後強く未来へ進んでくれるのだろうか。
私の幸せは雪華の成長した姿を見る事だと思う。
でも彼女が大人の姿は見れないんだろうね。
消えてしまうんだから。
そして翌日の放課後。
私は雪華を今日も待っていた。
お賽銭箱に続く石段で。
雪華「葵〜!」
彼女が元気よく私の名前を呼んで走ってくる
葵「どうだったの?」
雪華「喋れたよ!」
葵「やったじゃん!このまま頑張れば友達できるね!」
私は悲しい気持ちを押し込めて彼女に嬉しそうに言った
雪華「うん!!」
そして雪華としばらく遊んだ
どうかこの時間が長く続きます様に
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