第7話
俺よか一個下のアイリは。
林ユーコに振られた現場をモロに見てた。
「ちょっと...!酷い!!お兄ちゃんに対して
そんな振り方しなくたって...!!」
俺が呆然と突っ立っていた時。
アイリが俺の前に出て来て、
反論してくれた。
でもな。
ユーコはぴしゃりとこう言ってのけた。
「うるさー、兄のシンジとは違って頭の悪い妹
アイリちゃんに言われたくないー!あんた、馬鹿過ぎて行ける高校ないんじゃない??」
「...っ!」
「どーせ、来年は底辺高校に行くでしょ?
ビッチっぽいギャルしかいない、不良女子の溜まり場のFラン高校しか受からないっしょ?」
「....っ!!」
「おーい、ユーコ!何喋ってんだよ、もう帰ろうぜ」
「あ、うーん、今行く!」
藤島のやつに呼ばれて、
林ユーコはパタパタと俺らの前からいなくなった。
側溝に落ちた第二ボタンは。
妹のアイリが拾ってくれ、
直ぐそばの手洗い場の蛇口のひとつで
丁寧に洗って、ハンカチで拭かれ、
「これ、私がもらってもいい?」
と俺に尋ねてきた。
「いいけど...」
「別に、お兄ちゃんのことが好きとかじゃないよ。ただ、悔しくて。
あいつさ、お兄ちゃんの良さが分かってないんだよ。すごい優しいところとか、勉強だって、
多分、要領良くやればもっとできたと思うし...。見た目だって、どうしていいかちょっと
わからないけど...藤島先輩に負けてないと
思うし...」
アイリなりに。
俺のこと精一杯慰めてくれている
らしかった。
見た目はな...
負けているよ...
あいつはサッカー部のエースストライカーだった男で、運動神経抜群のイケメン。
腹筋も割れてる。
俺はヒョロヒョロのお腹チョコレートとは
無縁なトロンボーンを吹く吹部なんだから。
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