第6話
幼馴染ユーコと俺は幼稚園時代から仲良しだった筈だった。
夏休みだって、
「シンジー!!今からそっち、
夏休みの課題帳持って行ってもいい?」
「ああ...!」
俺の部屋で勉強会をよくした。
最も。
今、思い返してみると。
俺はいいように使われていたのかもしれなかった。
「答え、先生に取られているじゃん!
ちょっと写してもいい?」
「え、あ....」
「あってるかどうかわからないよ...」
「いいよ、大丈夫。シンジは数学と理科だけは
できるじゃん...」
「まぁ、他はあんまりできないけど、
その二教科なら、なんとか...」
「だよね!ぱぱっと写しちゃうね!!」
いつも俺が先に解いてあって。
ユーコが後で、写してくれ、と頼みにくる。
そんな関係。
自由研究だって、図画工作の宿題だって。
俺に手伝わせて、ユーコは楽してた。
でも、俺的には。
大好きなユーコと部屋でふたりだけで。
ユーコと話ができて。
ユーコの甘えたような上目遣いの表情とかが
滅茶苦茶好きで。
そんなこともあって。
俺はユーコを甘やかしていたんだ。
俺を頼ってきてくれるのは。
そのやや無防備な薄着での訪問も。
俺に気が、ほんの少しでもあるんじゃないか?
とポジティブに考えていたんだけど。
どうやら、これっぽっちもなかったんだと
思う。
お互い高校生になってからは、
一度も。
ただの一度も、窓から俺の部屋にユーコがやって来たことはなかったんだ。
俺が高二で、ユーコも高校二年生。
まだ、俺よか男前の藤島とは付き合っているみたいで。
たまに、ユーコの玄関先に藤島が
立っていることがあった。
藤島は眼鏡陰キャな俺とは違う、陽キャな勝ち組。
俺とは違う、女ウケする
男前な奴なんだ。
iPhoneから送信
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます